アミ小さな宇宙人 中條レポートNo255

書籍「アミ小さな宇宙人」からの抜粋です。
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愛とは、強さ、振動、エネルギーである。

もし、ある世界の水準が低けりゃ、それだけその世界は、多くのひとが不幸で、憎しみや暴力や分裂、戦争などが多く、とても自滅の可能性の高い、きわめて危険な状態にあるんだよ。

ひとつの文明が進歩するということは、それだけ愛に近づくということなんだけど、それを達成した世界は進歩していて、誰も傷つけるということがない。これは我々より優れた知性が作り出したもので、これ以外この宇宙で生き延びる方法はない。

われわれの想像する怪物は、われわれの自身の中にしか存在しないんだ。それらを放棄しない限り、決して宇宙の素晴らしさに到達することができない。

科学と愛のバランスが科学の方に異常にかたむきすぎている。
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この本の中で、宇宙人は地球を襲わないと言っています。

何故ならば、心の部分が発達していなければ、宇宙を自在に行き来出来る文明が発達する前にその星は、星の者同士が殺し合い、自滅するからです。
文明が進歩しても、心が進歩しなければ、その星はいつか滅びるということです。

このことが、今のウクライナ戦争を見ているとわかります。
核保有国が、核を持っていない国を威力で脅し戦っています。そして核は使用しない武器でなく、使う武器になりました。

この先100年200年たち文明が発展すれば、核を持つことはどの国でも容易になり、核以上の武器も開発され使用を前提とした戦いが行われるのでしょう。
数百年後も地球が存続することは出来るのか……..。

 相続の仕事をしていると人は本質的に争う心を持っていると感じます。このことは人として生まれた以上は避けられないのでしょう。

 20年前に読んだ本ですが、今一度読み返してみたいと思います。

遺産分割で初めにすること 中條レポートNo254

遺産分割では、最初に調べなければならいことが二つあります。

1亡くなった方(被相続人)の財産を相続できる人は誰か。(相続人は誰か)
2被相続人は、どのような財産を所有していたか。

相続人を確定させるためには、被相続人に関連する戸籍を収集しなければなりません。誰が相続人になるかにより、集める戸籍が変わります。

兄弟姉妹が相続人となる場合は、被相続人の両親の出生から死亡までの戸籍、兄弟姉妹の戸籍が必要になります。戸籍の数も相当数になり、集める時間もかかります。

戸籍に漏れがあると、相続人を間違えます。間違った相続人で遺産分割を行っても効力がないため、戸籍集めは慎重を期します。

最近では法務局に集めた戸籍を持って行くと、法務局が戸籍を確認し、相続人が誰かを証明する書類である法定相続情報を発行してくれ、この書類で各種相続手続を行うことが出来ます。(以前は手続するため戸籍を各機関に提出していました)

なにより大きなことは、戸籍を法務局がチェックしてくれるので、戸籍を漏らす心配がなくなることです。

次に2の財産の確定です。

預貯金等金融資産は、亡くなった時点での預貯金等の残高証明を金融機関に発行してもらいます。積立型金融商品(火災保険等各種保険等)は亡くなった時点に解約した場合に得られる解約返戻金を出してもらいます。

被相続人が生前に引出した預貯金の行方は問題の種です。違う人の名義の口座に移っているが実質は被相続人の預金(名義預金)。相続人の預金へ移っている場合。等々預貯金は頭を悩ますことが結構あります。

株式等値動きがあるものも問題になります。価格を相続開始時とするか遺産分割時とするか。諸説ありますが、相続人間で合意して決めて、後日争うことが無いようにすることが肝要です。

不動産は被相続人が所有している一覧が記載されている役所が発行している名寄帳を取得します。私道の持分等、財産の漏れを無くすためです。

 上記のように二つの項目を明確にして、遺産分割に臨んでいきます。大切なのは、相続人間に疑義が生じないようにすることです。

受け止め方 中條レポートNo253

書類を整理したときに見つけた2010年7月の中條レポートNo110「受け止め方」。
レポートを読み返し感じたことを書いてみました。

「人間は出来事によって悩むのではなく、出来事の受け止め方によって悩む。受け止め方を変えれば、感情も変り、行動も変る」

 肝心なのは受け止め方なのです。
そして受け止め方を決めるのは自分自身の「心」です。

 しかし、この「心」がやっかいです。
頭ではなく、様々な感情が心のどこから湧いてくるからです。

これを変えるのは大変なことです。
しかし、湧き出てくる感情に気が付き、それの良し悪しを判断することは、意識して取組めば可能です。

 悪い感情だとわかっても、湧き出てくる感情が変わるものではありません。
その場合、先に行動を変えてみるのも一つです。そして時間を味方にしましょう。

行動を変え、時間がたつと、湧き出てくる感情が変化してきます。(人の心はころころ変わるものです)それを上手に感じ取るのです。

 行動とは、難しいことをするのではありません。
嘘でもいいから「〇〇を許す」と言ってみる。等々。
続けると不思議と心から湧き出てくるものが変わることがあります。

 相続争いの原因は「分け方」ではなく、分け方の「受け止め方」で起きるのだと思います。争っている相手が他人でなく、身内のため、湧き出てくる感情を抑えきれず争いが激化します。激化すると、更に意図せぬ感情が「心」から湧き出て悪循環が起こります。

そんな時このレポートを思い出してください。
受け止め方を変えることで、相続で不幸になることを防げるかもしれません。

果実 中條レポートNo252

被相続人が亡くなってから、遺産分割協議がまとまるまでの、被相続人の財産から生み出された収益(果実)はどうのようになるのでしょうか。果実の代表的なものが、賃貸不動産から生じる賃料です。

この賃料は遺産分割協議でその不動産を取得した相続人のものになるか?

正解は、各相続人が法定相続分で取得することになります。その不動産にかかる費用(固定資産税、火災保険料等)も相続人が法定相続分で負担することになります。

しかし法定相続分で取得したことになると、相続人全員が賃料収入を確定申告しなければならない等々、面倒なこともあります。

そのため実務的には、賃料を生出す不動産を取得した相続人が、遺産分割までの賃料を取得することが多いです。

このとき大切なのは、相続人全員に、
「死亡から遺産分割までの賃料は法律的には相続人各々が法定相続分で取得することになるが、手続的に面倒なことがあるので、その不動産を取得する人が取得する」
ことを合意してもらい、書面にしておくことです。

この賃料が結構な金額になることもあります。他の相続人から異論がでた場合は、遺産の配分方法を調整することも必要となるでしょう。

遺産分割協議が終わった後に、この賃料の帰属を決めるのは、揉める原因になるので避けるべきです。

ちなみに、遺言の場合はどうでしょう。
亡くなってから遺言で実際に取得した時期までは、相続人が法定相続分で取得するのでしょうか?

正解は、遺言でその不動産を取得する人が亡くなった時からの賃料を取得し、その不動産管理費用を負担します。

 このように遺産分割は正確な知識で対応することが重要になります。財産分けの話の最初から、しっかりと説明していくことです。

争いの種をなくしていくことが、相続手続に求められます。

相続税の計算方法 中條レポートNo251

日本の相続税の計算方法はちょっと変わっています。

変わっているのは、誰がどれだけ財産を取得したかにかかわらず、相続税の総額を計算するところです。
総額が計算出来ると、その税額を各相続人が取得した財産の割合で按分します。

具体的に計算してみましょう。
ご主人が亡くなり、相続人が妻と子供長男、長女の二人。相続課税価格1億円。
妻が6,000万円(6/10)、長男が3,000万円(3/10)、長女が1,000万円(1/10)取得したとします。

まず、1億円を誰がどれだけ取得したかに関係なく、法定相続分で取得したとして相続税を計算します。
法定相続分は 妻1/2 長男1/4 長女1/4
相続税は1億円-基礎控除4800万円(3000万円+600万円×3)=5200万円
に対して課税されます。

この5200万円を妻が1/2の2,600万円 長男長女が1/4の1,300万円取得したと仮定し各々の相続税を計算します。(ここが変わっているポイントです)
それぞれの税額は妻が340万円 長男長女は各々145万円。(計算省略)

上記の合計額630万円の相続税を各々が相続した割合で按分します・
妻 630万円×6/10=378万円
(妻には税額の特例がありますので相続税は0円となります。(計算省略))長男 630万円×3/10=189万円
長女 630万円×1/10=63万円

ドイツやフランスのように相続人がどれだけ財産を取得したかで、それぞれの相続人に課税する国と、アメリカやイギリスのように亡くなった方の遺産の総額で相続税を課税する国があります。

日本は二つの方法の折衷ともいえる、仮に法定相続分で分けたと仮定して相続税を計算しています。
それぞれ一長一短です。大切なのは特徴を正確に把握し遺産分割をすることです。

成年後見制度の今後 中條レポートNo250

令和4年4月から第二期成年後見制度利用促進基本計画が始まります。

普及が進んでいない現状を踏まえ、成年後見制度利用促進専門家会議から下記のような提言がされています。

➀本人が必要とする身上保護や意思決定支援の内容や変化に応じ後見人等を円滑に後退出来るようにすべきである。
➁必要な範囲・期間で利用できるようにするため、終身ではなく有期(更新)の制度とする見直しの機会をつくるべきである。

 ➀について。
原状では後見制度を利用すると、家庭裁判所が最初に選任した後見人が亡くなるまで、本人(以下意思能力が衰えて支援が必要な人を「本人」という)の後見業務を行うケースがほとんどです。

しかし、本人の状況は変化します。その時々の状況により誰が後見人として適任かも変わってくることもあるはずです。

例えば、後見開始時に法律的な問題があり解決しなければならない場合。
最初は弁護士がなり、法律問題が解決したら親族、市民後見人というような本人と関わる度合いが多く身上保護(本人が本人らしく暮らすためにどのように出来るか)がしっかり出来る者に交代することです。

但し、交代時期や交代する者が適任かどうか見極めるためどうするか等の問題も多くあります。この役割は現場がよくわかっている、促進計画の要となる中核機関が担うのでしょう。

➁について。
後見人制度は使いにくい制度だとよく言われます。
その一番の要因は一度使うと、本人が亡くなるまで使い続けなければならないことです。

例えば、お母さん(判断能力がない)の施設費用の支払いのためお母さん所有の不動産を売却するために後見制度を利用した場合。

不動産売却手続が終わったら後見が終了するわけではありません。利用目的(不動産売却)が終了してもお母さんの認知症が治るか、亡くなるまで家庭裁判所の監督下で後見制度を使い続けなえればなりません。親族が後見人になれば、後見業務の負担、専門職後見人が付けば費用の支払い負担が重くなるためです。
終身でなく有期になれば、この負担が少なくなります。

 ➀は制度の運用で対応出来るでしょう。(実際に今でも後見人交代をするケースはああります)但し、普及させていくためには運用基準を明確にするひつようがあります。例えば交代ありきで後見開始の審判をする。等々です。

➁に関しては私の私見ですが➀より導入のハードルは高いと思います。本人のための制度ですから、一時的に利用することが本人にメリットがあるかどうか(家族にメリットがあるかどうかでなく)後見制度の根幹にかかわる部分だと思うからです。
しかし一時利用が制度化出来たら、後見制度の利用は大幅に増えることは間違いないと思います。

専門家会議からの提言を元に後見制度が変化・普及し社会に役立つ制度となるこが望まれます。そのためには、制度運用の核となる中核機関の動向を市民が注目し市民目線で意見が出るようになることが大切だと思います。

常識と法律 中條レポートNo249

遺言とは
「相続人の間に不平等を持ち込む仕事」
と先月号で書かせて頂きました。その理由の補足です。

 相続実務に携わるとき戒めている言葉です。
「法律と常識が一致するとは限らない。そして常識は法律に勝てない。
法律のなかで生じたもめ事は法律で解決すればよし。
ところが多くのもめ事や問題は常識の中で生じている。
常識の中で生じたものを法律で解決すると心にシコリが生じる。
この認識を持つことは実務家として大切」

「常識の中で生じたもの」とは下記のようなことです。
親の面倒を献身的にみた長男と、そうでない次男がいる。
親は長男に多く財産を相続させたいと思う。

次男が「お兄ちゃんは親の面倒をみたのだから、財産さくさん相続しなよ」
と言えば、常識の中で解決するのでシコリは残りません。しかし次男が二分の一欲しいと主張すれば、法律が勝ちますので次男の言う通りとなります。

上記の問題を「法律で解決する」とは、
生前に親が長男に多くの財産を相続させる遺言書を書くことです。
遺言を作成すると「心にシコリが生じる」ことがあります。

だから、我々アドバイザーは
「相続人の間に不平等を持ち込むが不公平であってはならない」※
こと常に念頭にいれ、公平な遺言書作成のお手伝いを心がける必要があるのです。それが「心のしこり」を少しでも和らげることになるからです。
アドバイザーの役割が重い所以です。

※平等と公平の違い:お年玉をあげる場合、小学生、高校生、大学生に同じ金額を渡すのが平等。年齢に応じて金額を変えて渡すのが公平。

不平等を持ち込む 中條レポートNo248

遺言とは
「相続人の間に不平等を持ち込む仕事」

遺言の作成のお手伝いをするとき、常にこのことを念頭にいれています。

平等に分けられる財産(例えば現金・預貯金)で、平等に分けるのでよければ遺言は必要ありません。
何故ならば法律(民法)は分け方を平等に定めているからです。(相続争いを行い、裁判所の判決で分け方が決まる場合は民法通りとなります)

不動産のように分割するのが難しい財産がある。
介護や家業の手伝を行った相続人とそうでない者がいる。
このような場合、遺言を使い相続人間に不平等を持ち込むことが必要になります。

けれども「不公平であってはならない」
「不平等」を持ち込むが、「不公平」であってはならないということです。

お年玉をあげる場合、小学生、高校生、大学生に同じ金額を渡すのが平等です。
年齢に応じて金額を変えて渡すのが公平です。

何が公平なのかは概念的なことになるので非常に難しいことではあります。
しかし、遺言書の作成する際、常に念頭にいれておくべきことだと思います。

森信三先生の一日一語(右記参照)によれば「職」は天から与えられたものです。「遺言書があれば争いを防げたのに」と思うことが多くあります。
私たちは生前に遺言作成のアドバイスが出来る立ち位置にいます。
「職」が天から与えられたものであるならば、天から与えられた役割を果たせるよう精進していきたいです。

10年 中條レポートNo247

所有者不明土地の対策として今年4月に法改正、新法作成が行われました。これらの法の施行は成立後3年以内とされています。

この改正は相続に関する法律にも影響しました。

相続したとき不動産の名義を相続人に変えずほったらかしていることが、所有者不明土地を発生させる要因だと考えられたからです。

テレビ等で報道されている相続登記が義務になるというのもその一つです。
その他にも相続実務に影響する改正が行われています。

相続開始後「10年」を経過した場合は特別受益や寄与分が法律争いの場で主張出来なくなります。(特別受益;故人の生前に住宅資金等のお金を贈与してもらった。等々 寄与分:故人に対して生前に金銭に換算できる恩恵を与えた。相続の財産分けをするとき、亡くなった時点の財産だけでなく、特別受益や寄与分を考量出来る)

相続が起こってから年数が経過すると、これらを主張する証拠が揃えにくくなり、争いが長引く要因になるからです。このことが、所有者不明土地を創出する原因にもなると考えられたからです。

令和2年7月に施行された相続法改正にも「10年」というキーワードがあります。
遺留分に関するものです。
「死亡する10年以上前に故人が行った贈与(特別受益)は遺留分を計算するときの財産の価額から外す」

10年以上前の贈与は証拠もあいまいになり、無用に争いを長引かせるというのが理由です。これは遺留分を請求するものにしては不利な改正です。逆に贈与を受けた者にとっては有利となるため、今後は早めの贈与が推奨されるようになるでしょう。(但し、遺留分が発生ることを知って行った贈与はこれに該当しません)

「10年」ひと昔。
10年はあっという間ですが、一区切りでもあるのでしょう。法改正は、ここを区切りにして争いを簡素化し早期解決を図る主旨なのでしょう。

前段のお話は相続時点では未来の「10年」。後段のお話は過去の「10年」。
相続は長期的な視点で関わっていくことが大切だと感じます。

仕事の効率 中條レポートNo246

コロナで世の中が大きく変わりました。

ネットで会議、面談をするようになり、遠方への出かけることはめっきりへりました。コロナが終息しても効率を考えると、ネットで出来ることはネットで行いコロナ前の状態には戻れないのでしょう。

しかし、面談することの重要性が再認識されたことも事実です。
ネット上ではわかりえない、人間の機微が面談では感じることが出来るからです。効率だけを優先することが良い結果になるとは限りません。

 日本の平均賃金が20年前と変わらない。先進国の中でも圧倒的に低い伸び率となっています。様々な原因が考えられ、対策が講じられようとしています。

でも日本人は不幸でしょうか。
安全な環境。四季がある、豊かな自然に恵まれた環境。規律正しい気風。

賃金だけでは計れないことがたくさんあると思います。
先述した効率だけでは計れないことと通ずるところがあると思います。

私は主に相続、成年後見の仕事をしております。
どちらも効率だけを求めても良い結果は出てきません。

正解がない場面も多くあり、日々迷い悩み仕事をしています。効率的に解決しようとすると間違うことも多々あります。

「こんなに〇〇〇してあげているのに」
対人関係で非効率的な事をしているときに出てくる感情です。このとき効率的にしようとしても良い結果になりません。

なぜなら自分中心の思いで行っていて、相手の想いとは違うことが多いからです。そしてこの感情は相手に伝わります。そのため心を開いてくれません。
効率ではなく「やってあげている」という気持ちの修正が必要です。

 もちろん効率を求めることは経済活動をしていくうえでは欠かせないことです。
お伝えしたかったのは、効率だけを重視して活動すると大切なものを見失う危険があることです。この危険に気が付けるよう日々精進していきたいと思います。