不動産を終活する 中條レポートNo208

「地方で一人で暮らしをしている母の認知症が進んできた。一人暮らしはもう難しいのではないか。施設に入って欲しいが、そのためには母が住んでいる自宅を売却する必要がある。認知症になったら不動産が売れなくなってしまうと聞いたが、本当なのか」

このような相談が増えています。
このようなとき、最初に確認したいことが、母親の意思能力の状態と、母親がどのような暮らしを望んでいるかです。

意思能力の状態とは、法律行為(自宅売却)が出来る程度か否かです。
意思能力は急激に低下するわけではありません。衰えの程度によっては、自宅の売却は有効に成立します。

自宅を売却するための意思能力がない場合は、家庭裁判所に後見人を選んでもらい後見人に売却してもらう方法しかありません。しかし法定後見制度を説明すると大概の方は「そんな大変な制度なの」と思われるようです。

財産の使用使途が限定的(母親のためにしか使えない)になり、後見人は家庭裁判所へ定期的な報告を行い、それを母親が亡くなるまで続けなければなりません。また子が後見人になりたいと思っても家裁が子を選任するとは限らないからです。

自宅売却が出来る程度の意思能力があれば、選択肢は広がります。

母親が、施設入所を希望しているのであれば、自宅を売却し、売却代金を普通預金に入れ(定期預金に入れると、解約したいとき意思能力ないと後見制度を利用しなければならない)、そのお金を施設費用にあてることが出来ます。

自宅で暮らしたいと希望されている場合、現実的に暮らせるかどうかの判断が大切になります。暮らせそうならば、自宅の売却は見送られます。将来、法定後見を利用しなくても済むようにしたいのであれば、対策を講じなければなりません。但し、対策実行するには様々な注意点があるので詳細な検討が必要になります。

終活で大切なのは“母親の財産を、「母親のために」どのように使うか“ という視点です。ここが根底にないと様々な準備・対策が間違った方向へいってしまいます。

注意したいところです。

チコちゃんに叱られる 野口レポートNo264

テレビを見る習慣はありませんが、朝ドラ、太河ドラマ、ニュースは見ます。最近は「チコちゃんに叱られる」にハマっています。

チコちゃんは「ぬいぐるみ」で5歳の女の子です。司会の岡村隆史さんとチコちゃんの絶妙なやりとりが何とも面白いのです。

普段は見過ごしている素朴な疑問を、「なぜ」とチコちゃんに質問され、改めて考えると答えが出てこないのです。「なぜ」と質問され大人達は誰も答えられません。だがチコちゃんは答えを知っています。

先日こんな質問がありました。「大人になると時が短く感じるのはなぜ」岡村さんやゲストも答えられません。チコちゃんの答えは「大人になると時が短く感じるのはトキメキが無くなるから」でした。妙に納得してしまいました。

還暦を過ぎると下り坂を転がるように時が過ぎていきます。「光陰矢の如し」たしかに歳をとるごとに時間がたつのが早く感じます。今回チコちゃんがその謎を解いてくれました。

歳をとると新鮮さを感じる感覚が鈍くなます。新しい感動や胸が躍ることも少なくなります。気づかぬうちに単調な日々を過ごしてしまう、だから時が経つのが早く感じるのです。歳を重ねるごとに時間は早く流れていくのだから、1日1日を悔いなく大切に過ごすことです。今の時間を大切にできない人は、将来の時間も大切にできません。

相続実務は、大変だ、いやだなと、気弱になったらそこで終わりです。仕事に対し常に気丈な気持ちと、揺るがぬ信念がなければできません。

ある相談を受けました。相続人は姉(Aさん)と弟です。弟はすでに亡くなり未成年の子が代襲相続人となります。不動産を甥に相続させるかいなか、Aさんは相続人と伯母の立場で悩んでいます。

話を傾聴していくと本人が問題の本質に気づきました。私のアドバイスを聞いて「今鳥肌が立っています」と言われました。気持ちが楽になったとスッキリした顔で帰りました。

遺産分割は普段隠れている人間の本性が表に出てきます。「この時の姿こそ本当の自分の姿」です。どんな相続でも大なり小なり揉めることはあります。だが相続争いはそんなに多くはありません。

大半は多い少ないと兄弟喧嘩のレベルです。相続アドバイザーなどの適切なサポートがあれば、まだ自分達の力で解決できる段階です。

単なる兄弟喧嘩なのに問題が「相続」だから、つい相続争いだと思ってしまいます。弁護士が入ったら本当の相続争いに進展します。

円満相続の秘訣は相続を法律問題にしないことです。難度の高い相続案件を完了し、頑張った自分にトキメキを感じることもあります。

相続は子育ての集大成です。感謝できる子に育てたら、親が残した何にも勝る財産です。相続争いをしたら子育ての失敗です。

古稀も過ぎアッという間の72年でした。だが、気持ちは青春のつもりです。源はトキメキを感じる感性にあるのかも知れません。

チコちゃんに「ボーっと生きてんじゃねーぇよ!」と叱られぬよう、これからも大いにトキメキたいと思います。