真っすぐ上げて、真っすぐ下す 中條レポートNo236

 私が通っている相続専科野口塾の塾長・野口賢次先生のレポートです。毎月欠かさず発行し今年1月で292回(24年超)。そのなかの一つをご紹介します。

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(前略)
人生は人との出逢い、師との出逢いで決まると申します。刃筋が通り真っすぐ下りた剣は相手の剣をはじき、肉を切らせて骨を切ります。「真っすぐ上げて、真っすぐ下す」師である道場の館長(小野派一刀流師範)から教えていただいた一刀流の極意です。
(中略)
昭和の剣道ブームのころ、地元の剣友会で小学生の指導をすることになりました。剣道は正しい面打ちができれば、ほかの技は自然と身につきます。ここは徹底し指導しました。

子どもたちの剣筋は素直で、剣道大会では相手に胴を抜かれたり、小手を打たれたり、試合ではなかなか勝てません。「なんでうちの剣友会は勝てないの?」内心お母さんたちは不満です。これでいい、これでいいのです、もう少し我慢と説得します。

小手先の技を教えれば試合では勝てますが、いずれ行き詰まります。「大きく振りかぶり、真っすぐ打ちこむ」は原点です。主宰している相続野口塾もこの精神を20年間つらぬいてきました。

正しい剣筋を身につけた子どもたちはメキメキと頭角をあらわし、剣道大会では上位を占めるほどになりました。教え子たちは揃って地元の中学校に入学し剣道部に入りました。

玉川中学校剣道部が川崎を征するのに時間はかかりませんでした。学校の廊下には笑顔で優勝旗をかこんでいる当時の子どもたちの写真が飾ってあります。

教え子たちは剣道を通し成長し、社会に出てからも立派に活躍しています。「真っすぐ上げて、真っすぐ下す」一刀流の極意は全てに通じる極意でもあります。

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野口塾では相続を幸せに導くため、「技」(知識・現場対応力)と「心」を磨いています。その基になるのが

「真っすぐ上げて、真っすぐ下す」

実務で迷った時、ここに帰ると答えが出ます。

今年も、この教えもと一歩一歩精進していきたいと思います。

コロナ禍と相続実務 野口レポートNo292

コロナは人から大切な時間を奪い、多くの仕事や生活に影響を与えています。相続や不動産も例外ではありません。

◎一昨年の11月に父親がなくなりました。母はすでに他界しており、相続人は長男を含め4人です。遺産は自宅とアパート、預貯金株式なのどの金融資産がそれなりあります。

長男はお金をかけてもらい一流大学を出て一流企業に就職し、現在は自分で起業し業績も順調です。

遺産分割に際し「自分はハンコ代でいいよ。あとは3人で話し合ってくれ」と腹の太いところを見せていました。心が広いお兄さんだなと感心していました。

遺産分割の話会いも順調にすすみました。ところが年が明け3月になると、長男の会社がコロナの影響をまともに受け業績が急激に悪化してしまいました。

当初は「ハンコ代でいいよ」と言っていた長男の態度が一変しました。遺産分割は最初からやり直しです。父親が亡くなるのがあと1年早かったら円滑な分割で済んでしまったでしょう。

◎同じく一昨年の話です。老朽化した収益物件の売却の依頼を受けました。何とか売り抜けましたが、年が明けてしまったら買う人はいなかったと思います。わずか1年の差で運が分かれます。

コロナの影響で昨年の3月頃から相談者の来店が減っています。感染対策はとっていますが面談を控えていると思われます。コロナが終息してからと問題を先送りにしている人もいます。

代わりに遺言作成など一般家庭の相続対策の相談が増えてきました。コロナに背中を押され相続が現実味をおびてきたのでしょう。財産が自宅と預貯金が1000万円~2000万円、この層の優先すべき相続対策は遺産分割対策です。

配偶者が自宅敷地を取得するか、または小規模宅地特例の要件を満たせば、相続税の心配はまずないでしょう。ただし、10ケ月以内に申告が必要となるので税理士の費用はかかります。

遺産が相続税基礎控除を超えなければ、相続税の申告義務はなく遺産分割のみで済みます。こちらは期限の定めは特にありません。

また、相続争いの多くはこれらの層に発生します。主な財産が自宅では分けようがありません。遺言の作成は必須です。

兄弟姉妹の相続以外は遺留分の問題が絡んできます。先の相続法改正で遺留分減殺請求権が遺留分侵害額請求権となりました。もし遺留分を請求されたら金銭で払わなければなりません。遺言作成と遺留分対策は一体で考える必要があります。

財産があれば遺留分を侵害しない遺言も可能です。が、上記の層ではそんなわけにはいきません。親の考えや思いを伝えておく、付言の工夫、生命保険の活用など準備が必要です。コロナ禍を機に相続対策の必要性が一気に顕在化してきた感があります。