遺言書保管制度 中條レポートNo231

今年の710日から新しく遺言書保管制度が始まりました。遺言作成を検討されている方にとって選択肢が増えたことになります。

この制度、自筆で書いた遺言を法務局(不動産登記、法人登記を行う役所)で保管してもらう制度です。公的機関に預かってもらうので、遺言書の紛失、遺言者以外の人による遺言の破棄、改ざん等のリスクがなくなります。

今までも公証役場に遺言書を預かってもらう公正証書遺言という方法がありました。公正証書遺言とくらべどんな点が違うのでしょうか。

 ・公正証書遺言と比べたメリット。
1、費用が安い。預かってもらうための手数料は一律3.900円です。公証役場の場合は案件により異なりますが数万円~(財産額、内容により加算)かかります。

2、公正証書作成に比べ手間がかからない。公正証書で必要な証人(二人)は不要。自身で作成した遺言を法務局に持って行くだけです。昨年113日に民法改正により財産目録は自筆でなくてもよくなったため、書く負担が軽減されました。(但し、物権目録以外は自筆が用件ですので、字が書けない人は利用出来ません) 

・公正証書遺言と比べたデメリット。
1、法務局では内容まではチェックしません。(日付、署名捺印等の形式的要件はチェックしてくれます)専門家のチェクが入らない遺言は、手続上に支障が出ることがあります。せっかく作った遺言が機能しないリスクがあります。

2、法務局に預けても、遺言が有効であることを証しているわけではありません。筆跡が違う、意思能力があったのか等、後日の紛争を防ぐことは出来ません。公正証書であっても意思能力に関しては争われることがありますが、公証人・証人2人が遺言作成に立ち会いますので、遺言が無効になる可能性は少ないです。

3、遺言者本人が法務局に出向かなければなりません。公正証書のように公証人が出張してくれることはありません。車いすででも行かなければなりません。

どちらの制度が良いと言う事ではありません。遺言を書く人を増やしたいとの想いで、国が新たな選択肢を作ったのです。
遺言が必要な人に遺言作成の動機付けになればよいと思います。