寄与分 中條レポートNo223

寄与分とは亡くなった方に尽くした相続人にはその分、多くの財産を与える制度です。

母親が亡くなった時の財産が5,000万円。相続人は長男・次男の二人。長男が母親に尽くした分(これを寄与分という)が1,000万円とします。遺産分割の対象は寄与分1,000万円を外し4,000万円となります。長男は寄与分1,000万円と法定相続分(二分の一)2,000万円の合計3,000万円を相続出来るという制度です。

問題はこの寄与分の金額をどのようにして決めるかです。
相続人間の話し合いか、話合いがつかなければ裁判所で決めることになります。

 この寄与分の金額が話合いで決まるでしょうか。
上記の例で、寝たきりの母親の面倒を一切みなかった次男が、献身的に介護した長男に財産の二分の一を要求していたとします。そんな次男が長男に
「兄貴がお母さんを一生懸命介護したんだからその分多くもらいなよ」
と言うでしょうか。(言ったとして、長男が満足する金額を提示するでしょうか)

兄が法定相続分では納得いかず争いになった時、相続分を増やすため寄与分は持ち出されます。だから、多くの場合、話合いで決まらず裁判所で決まるのです。

但し裁判で決まる金額は苦労が報われる金額とはなりません。子が親に尽くすのは当たり前だというのが法律の考え方だからです。特別に尽くした事でなければ寄与分の金額に反映されないのです。

相続法の改正で特別の寄与制度が創設されました。(令和元年7月施行)
相続人でない親族でも尽くした分、財産を貰える制度です。想定しているのは、両親の面倒を見た、長男の嫁ということなのでしょう。

しかし、寄与分以上に面倒です。話合いで決まらなければ、裁判所に請求しなければならず、請求出来る期間制限⦅相続開始を知ってから6か月(相続開始後1年)以内⦆があります。貰える金額は通常の寄与分と同様、苦労が報われる金額とはなりません。

「寄与分」も「特別の寄与制度」も使いにくく、貰える金額も実態を反映されていません。だから、これらの制度を当てにすることなく「尽くしてくれた人にはその分しっかりと遺言を書いておく」ということが重要となります。