国庫帰属法 中條レポートNo267

令和5年4月27日より相続土地国庫帰属法(以下「国庫帰属法」という)が施行されました。
相続で取得した土地を国に費用を支払って引き取ってもらう制度です。
“タダ”でも売れない負動産を引き取ってもらえる可能性があるのです。

相続財産を引き継ぎたくない場合、相続放棄の利用が考えられます。
この制度は、家庭裁判所に申し立てをして、相続人をやめることの許可をもらい、財産を引き継がなくするものです。

それ故、一切の財産を引き継げません。引き継ぎたくない不動産だけ「いらない」とは言えないのです。預貯金があった場合、その預貯金も引き継げません。

国庫帰属法の最大の特徴は引き継ぎたくない土地だけを放棄することが出来るのです。「預貯金を相続し、いらない土地だけ放棄する」ことが出来る画期的な制度です。

但し、引き取ってもらうためにはお金が必要です。必要なお金は20万円~となっています。(詳しくは法務省HP参照)
また引き取ってもらえる土地の要件のハードルも高いです。
・建物が存在する土地はダメ。
・境界が明らかでない土地はダメ。
・隣人とのトラブルを抱えている土地はダメ。

等々、管理処分に費用・労力を要する土地は引取ってもらえません。
たとえ有償でも引き取った後、管理することを考えると、国も安易には引き取れないのが実情です。

国庫帰属法は5年後に見直しを検討しているようです。
引き取り件数が多かった場合、要件を更に厳しくする可能性があります。
「やるなら今の内」という声も聞こえてきます。

また、この制度を利用する場合は国が引き取ってくれるかどうかの目利、引き取ってもらうための条件整備、申立手続、等々、専門家の関与が欠かせません。

そして相続開始前からの早めの準備が欠かせないことは言うまでもありません。

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