小規模宅地の特例 野口レポートNo279

集客を目的にしたバーゲンセールはデパートや商店などではよく行われる催し物です。が、せいぜい50%引きがいいとこです。80%引きなどまずないでしょう。

ところが相続税の世界ではこの80%引きが存在するのです。「小規模宅地の特例」です。330㎡を限度として自宅敷地の評価を80%引きにする特例です。正に相続税の大バーゲンです。

平成27年から相続税基礎控除が改正されました。改正前は遺産が自宅と預貯金2000万円位なら相続税の心配はありませんでした。

改正後はこれらの層でも安心できません。私の住んでいる川崎市中原区では自宅を所有していたらほとんどが相続税の対象となります。ただし、小規模宅地特例の要件を満たせば相続税は課税されないでしょう。

また、この層は争いが起きる可能性があります。小規模宅地の特例を考慮しながら、誰に家を相続させるのか、他の財産をどう振り分けるか、遺言は作っておいた方がいいと思います。

《小規模宅地特例の要件》 (注)要件の委細に関しては税理士に確認
◎被相続人の住居に同居し、その敷地を相続し申告期限まで住んでいること。◎1階に両親、2階に息子夫婦が住み外階段。真ん中で仕切り玄関は別々、これら完全分離型2世帯住宅でも適用可能です(区分所有と共有では扱いが異なるので登記に注意)。◎親が老人ホームに入所しもう自宅に戻らない、これも適用可能です。

◎その敷地を相続し、申告期限まで引き続き所有し住むこととあります。相続開始10ケ月以内に売却してしまったら特例が取り消されてしまうので注意が必要です。◎配偶者が相続した場合は、無条件で特例を受けることができます。これら小規模宅地の特例を受けるには、相続税の申告が必要となり税理士の費用がかかります。 

《家なき子》
◎同居人がいない親が亡くなった場合、別居していても相続開始時において、自分が住む家を過去に所有していなかった者(俗にいう家なき子)が相続した場合は80%評価減が適用されます。

《ある夫婦の自殺》
だいぶ前の話しになりますが、田園調布に住んでいる夫婦がいました。親が亡くなりました。自宅敷地の評価は数億円です。億単位の相続税が払えません。夫婦は悩み苦しみ、最後は自分達の命を絶ちました。

生前に田園調布の自宅を売り地価の低いとこへ移る、こんなシンプルな相続対策をしておけば、相続税など楽々払え老後の生活費も十分確保でき、この夫婦も残りの人生を幸せに過ごすことができたはずです。

《相続対策の目的は相続人の幸せである》
長年別居していた息子夫婦が小規模宅地特例の要件を満たすために親と同居しました。ところがお嫁さんと姑がうまくいきません。このまま同居していたらストレスで身がほそります。

こんな相続対策は本末転倒です。息子夫婦にしても相続税を取られても、同居しないで明るく楽しく暮らしていたほうがはるかに幸せです。相続対策の目的は節税ではなく相続人の幸せにあるべきです。

遺言書あれば天国、なければ地獄 野口レポートNo278

今回は遺言が必須の3例です。①子どものいない夫婦がいます。夫は自分が亡くなったら、全財産は妻へいくと思っています。まさか自分の兄弟姉妹が相続人になるなどとは夢にも思っていませんでした。

夫が亡くなりました。相続人は妻のAさんと夫の兄弟姉妹です。兄弟姉妹は高齢なので1人を残し他は亡くなっており、代襲相続人の甥・姪が16人もいます。遺産は自宅の土地建物と預貯金です。Aさんは相続手続きを先送りにし、3年間も放っておいたので手持ちのお金が底をつきこのままでは生活できません。預貯金は凍結され引き下ろすことができません。状況が複雑なので遺産分割は難航し時間がかかりそうです。

最高裁の判例変更の前(可分債権で遺産分割不要)であり、弁護士に依頼し銀行を相手に預貯金返還請求の訴訟を起こし法定相続分の3/4を引き下ろし、取りあえずAさんの老後の生活費を確保しました。

遺言さえあればこんな苦労をすることはなかったのです。全財産を妻へ相続させる自筆証書遺言は5分あればできます。

(全文自筆で書く)
私は次の通り遺言します。
1、私の有する一切の財産を妻の山田花子に相続させます。
2、遺言執行者には上記山田花子を指定します。
令和〇年〇月〇日(書いた日付)
川崎市川崎区川崎町111番地
遺言者 山田太郎 ㊞

 

兄弟姉妹とその代襲者には遺留分の権利がありません。夫がこんな簡単な自筆証書遺言を残しておけば、手間暇や弁護士の費用もかからず、Aさんは簡単に相続手続きができたはずです。

②ある姪が高齢の叔父の世話をしています。叔父は独身で全財産を姪へ遺贈したいと希望しています。私がサポートすれば遺言は速やかに作れます。が、叔父は直接公証役場に行くと私への報酬を渋りました。

遺言者本人が公証役場に行き、遺言の作成を依頼すると、公証人から次のものを用意し、再度きてくださいと言われます。

〇不動産登記簿謄本 〇戸籍謄本 〇固定資産税評価証明書 〇預貯金等の概算額。これだけの資料を揃えるのは高齢者にとってハードルが高く、この段階で多くの人は挫折してしまい、公証役場を再度訪れ目的を達成する人は少ないそうです。

それから2ケ月、先送りしているうちに叔父は脳卒中で倒れ、遺言が作れる状態ではなくなりました。姪は叔父を説得してでも私に依頼すればよかったと大後悔しています。が、すでに手遅れです。

③子どものいないT男氏夫婦がいます。夫は遊び癖のある人で、奥様は苦労しながら耐えてきました。

最近は歳をとりさすがにおとなしくなりました。さんざん苦労をかけた奥様へ、せめてもの罪滅ぼしに自筆でよいから遺言書を作っておくことをアドバイスしました。このままでは奥様は、T男氏の兄弟姉妹と遺産分割の話し合いをしなければなりません。

費用もかからず簡単だから印をもって来てくださいと言いました。が、何度言っても来る気配がありません。こんな思いやりのない人のところへ嫁いでしまい苦労し、相続でまた苦労する奥様が気の毒です。

弁護士との連携 野口レポートNo277

 骨肉を争うような本当の相続争いは世間の人が思っているほど多くありません。多くは兄弟喧嘩のレベルです。この段階なら身近にいる相続アドバイザーなどがサポートして差し上げれば、まだ相続人が自分達の力で解決することができるでしょう。

 だが、テーマが「相続」なので相続争いと思い込んでしまい弁護士事務所へ行ってしまうことがあります。弁護士のところへ行けば法律問題になってしまい、本当の相続争いに進展してしまう可能性があります。

 常識と法律は一致するとは限りません。そして常識は法律には勝てません。円満相続のポイントは相続を法律問題にしないことです。

 ただし相続問題で弁護士に依頼しなければならないことはあります。

 ◎遺留分減殺請求に関する問題、◎相手が弁護士をたててきた、 ◎感情がこじれお金の問題ではなくなってしまっている、◎生前に預貯金を下ろされ不当利得されてしまった、◎何度連絡をしても一切何の連絡もこない、これらの問題は迷うことなく弁護士へ依頼します。ここは法律で裁いてもらうしかありません。

 ただし弁護士に丸投げでなく、アドバイザーが潤滑油として間に入り、弁護士が仕事のしやすくなる環境作りや、依頼者の不安を和らげるなどサポートしていく必要があります。

 なかには弁護士に頼めば何でも思い通りになると誤解している人もいます。いくら弁護士でも理不尽なことは通りません。 

 時として弁護士が苦労するのは相手方より依頼者のほうです。依頼者に弁護士に対し正しい認識を持っていただくことも必要です。

 ある大地主がいます。奥様と離婚し再婚しました。先妻との間には娘Aさんがいます。後妻との間には息子がいます。

年月がたちAさんも40代になりました。父親が亡くなりました。相続人は、Aさん、後妻、その息子です。

 父親は信託銀行で公正証書の遺言を作っていました。内容はひどいものでAさんの遺留分を全く考慮していません。まるで遺留分減殺請求(現遺留分侵害額請求)をしてくれと言っているようなものです。

 遺産の8分の1がAさんの遺留分になります。収益物件を含め多くの不動産があり、8分の1とはいえ半端な額ではありません。

 信託銀行は「うちは遺言を執行していきます。遺留分減殺請求にはタッチしないから、そちらでやってください。」との冷たい対応です。

 幼い頃に両親が離婚しAさんは父親を知りません。父の子である証に遺産の一部をいただければとの思いだけです。預貯金の一部のみを減殺請求することをアドバイスし、後は弁護士に託しました。

 Aさんが譲ったことで、この相続問題は一切もめることなく早期に解決しAさんはもとより後妻側からも感謝されました。

 弁護士は法律のプロ中のプロです。弁護士と素人ではどうしてもギャップがあります。弁護士との面談には必ず同席し依頼者をサポートします。ただし資格に人格を兼ねそなえ、アドバイザーと信頼関係が確立している弁護士を選ぶことが重要です。

正直に生きる 野口レポートNo276

25年前の話になります。建設会社と税理士から、廃業したGS跡地に借金をして賃貸マンションを建てると相続対策になりますよと提案を受けました。税理士からはこのままでは相続税で土地を失うことになりますよと言われました。

今でこそ相続のプロとして仕事をしていますが、当時は相続に関して全くの素人です。建築会社と税理士の話を疑うべくもありませんでした。節税目的の安易な借金は禁物だと後で知ることになります。

借金には節税効果は生じず、借金で得た現金で評価の低い賃貸マンションを建てるから相続税が減るのです。ここを取り違えないことです。

15年後に大規模修繕の時期がきました。上記施工会社の見積りと外装工事会社の見積りでは比べものになりません。外装工事会社へ大規模修繕をお願いしました。

修繕中に施工会社の手抜き工事が発覚しました。◎打ちっぱなしのコンクリートの穴をモルタルで埋めずにタイルを張っています。◎さわることのできない場所のコーキングを手抜きしています。◎外から見えないパイプスペースには持ち帰るべきゴミや廃材が捨ててあります。

実際に仕事をするのは下請けや孫請けでしょうが、見えなければいい、分からなければいい、それにしてもあまりにお粗末な仕事です。

何で正直に仕事ができないのでしょうか、もし施工会社に大規模修繕を依頼したらこれらの手抜き工事は隠されてしまったことでしょう。

いっとき世間を騒がせた耐震偽装の一級建築士にしてもしかりです。資格に人格が伴っていなかったことで、どれだけの人がマイホームの夢を砕かれ不幸になってしまったか、騙しなどせず正直に生きていたなら、この設計事務所も立派に発展していたと思います。

ささやかれていた話ですが、施工不良問題が表に出てしまい、窮地に立っている会社があります。大手だからと100%信頼し建築を依頼した大家さんはたまったものではありません。己の利益を優先しお客様や社会を欺いた代償は決して安くはないでしょう。

タレントで女優のK子さんが、小学校時代の社会見学の様子をエッセイに書いています。訪問先のゴミ処理場見学に先立ち、先生から注意がありました。「皆さん、静かに見学しましょう。汚くても臭くても決して臭いなどと、言ってはいけません。」当時のゴミ処理場のことです、現場に入ったら臭いのは当たり前です。

通りかかった処理場のおじさんが声をかけてくれました。「どうや、臭くてたまらんやろ?」子供たちは一斉に臭くないといいました。

「こんなに臭いのに、お前らの鼻はアホとちゃうか」と言って、おじさんは行ってしまいました。それ以来、K子さんは自分に正直に生きようと心に決めたそうです。

金太郎飴はどこを切っても同じ顔が出てきます。裏表も損得もありません。私も一貫し正直に生きてきました。今があるのはそのお蔭です。

ごまかしや、口のうまさなどが、世の中まかり通ってしまう時代です。

背伸びせず、見栄もはらず、人も騙さず、「正しくまっすぐに生きる」こんな楽ちんな生き方はありません。

借金から子の人生と親の財産を守る 野口レポートNo275

銀行⇒いくらでもお貸ししますよ。建築会社⇒賃貸マンションを建てましょう、相続対策になりますよ。税理士⇒相続税が減りますよ。

バブル期の相続対策と言えば相続税を減らす節税対策一色でした。そして、銀行、建築会社、税理士、この人達の独壇場でした。

節税目的の安易な借金は禁物です。借金や連帯保証人の地位は法定相続分で相続します。借金の遺産分割は相続人の間では有効ですが、債権者に対抗できません。特定の相続人が借金を引き受ける免責的債務引受を銀行が承諾すれば、他の相続人は借金から離脱することができます。

承諾が得られなければ各相続人が法定相続分で相続します。借金付きマンションを相続した長男が返済に行き詰まりました。銀行は他の相続人全員に法定相続分で返済を求めてきます。

相続対策として巨額の借り入れをし、駅徒歩20分のところへ2棟の賃貸マンションを建ててしまった父親が亡くなりました。

節税目的の甘い事業計画です。毎月の返済と税金でお金は貯まりません。大規模修繕の時期がくればまた借金です。立地が悪く、空室増加、賃料下落、返済できずに将来破綻する可能性があります。

子は父親の相続を放棄し、連帯保証人の母親(放棄しても保証人の地位は残る)が相続することをアドバイスしました。子は母親の2次相続で状況を見極め相続か放棄か再度選べます。もし債務超過なら母親の相続を放棄し、親の借金から子の人生を守ることができます。

都市銀行が消費者ローンに参入しています。消費者金融が保証しているなど知るよしもありません。もし返済できなくなったら、保証人として銀行に弁済した消費者金融のプロが求償してきます。

 ある高齢の母親から相談を受けました。息子(50代)が多重債務に陥り、消費者金融(街金)の対応や息子へのお金の工面で疲れてしまっています。息子と面談しましたが働く意欲が全くありません。

 両親は複数の不動産を所有しています。街金は高齢の両親の相続を待っています。そして息子の相続分を差し押さえるつもりです。

子の借金から親の財産を守る必要があります。公正証書遺言を作成し親の財産は他の相続人に指定し、相続での差し押さえを防ぎました。

 母親と2つの約束をしました。①親は保証人になっていないので絶対に街金に返済しないこと。②息子にはお金を渡さないこと。

とりあえずひと安心と思ったら予期せぬことが起こってしまいました。高齢の両親より息子が先に亡くなってしまったのです。

 息子は独身です。相続人は両親となります。息子の借金は親が相続します。街金は相続放棄ができる3ケ月以内は請求してきません。

司法書士を介し家庭裁判所に相続放棄を申し述べ受理されました。相続放棄受理証明書は債権者に対し黄門様の印籠となります。 

 親の放棄が確定すると最初から相続人でなくなります。今度は兄弟姉妹が相続することになります。兄弟姉妹全てを相続放棄させ、子の借金から親の財産を守ることができました。

 借金や連帯保証人の地位も相続財産です。相続人は法定相続分で相続します。状況によっては借金の相続対策も必要です。

遺留分侵害額請求権 野口レポートNo274

一定の相続人は、遺言によっても贈与によっても奪われることのない最低限の相続分を持っています。これを遺留分と言います。

◎平成30年の相続法改正で遺留分減殺請求権が遺留分侵害額請求権に変わり「金銭債権」となりました。
配偶者が相続人の場合⇒ 法定相続分の1/2が遺留分となります。
子が相続人の場合⇒ 法定相続分の1/2が遺留分となります。
◎直系尊属(父母等)のみが相続人の場合⇒ 1/3が遺留分となります。
◎ちなみに第3相続順位の相続では、相続人である兄弟姉妹に遺留分の権利はありません。遺言があったらその通りです。
遺留分を侵害している遺言も無効にならず有効です。
遺留分は遺留分侵害額請求をして初めて効力が生じます。侵害額請求されなかった遺産は遺言で財産を取得する受遺者に帰属します。
◎遺留分の権利は侵害されていることを知った時から1年、知らなくても相続開始10年が経過すれば時効により消滅します。
◎相続放棄は生前にはできませんが、遺留分放棄は家庭裁判所が認めてくれたなら生前放棄が可能です。

もし父親に愛人ができ、「全財産を遺贈する」こんな遺言を作られてしまったら、あとに残された家族は路頭に迷います。相続人全員が遺留分を主張すれば遺産の半分は取り戻せます。そんな時は「遺留分侵害額請求権」この法律が光り輝くことでしょう。

こんなアドバイスも時には必要です。

◎相手に減殺請求をさせないで兄弟姉妹の縁を切らせなかった話です。
相続人は、長女、長男、二男です。母親はすでに他界し、長男夫婦が寝たきりの父親を在宅介護していました。夜中でも不具合があると2階にいる夫婦のブザーが鳴り、1階に下りて父親の世話をしなければなりません。長男夫婦は肉体的に精神的に限界にきています。

父親は「全財産を長男に相続させる」との公正証書遺言を残して亡くなりました。主な遺産は自宅の土地建物です。

長男は相続手続きの準備に入りました。弟は、兄貴と義姉さんが親父の介護をし、看取ってくれたのだからと、遺言に理解を示してくれました。姉は、私にも権利があると遺留分を主張してきました。

遺言を執行したら遺留分減殺請求をしてくるでしょう。遺留分減殺請求は弁護士から内容証明できます。内容証明は宣戦布告のようなものです。長男に届いた瞬間に姉弟の縁は切れてしまいす。

相続で一度切れた縁は戻りません。相続実務で一番気に留めていることは兄弟姉妹の縁を切らせないことです。

長男には遺言を使わないで、遺産分割の話し合いで自宅を相続することをアドバイスしました。長男が譲ったので姉も一歩引いてくれました。

姉にハンコ代相当の代償金を払い、長男が自宅を相続することで遺産分割は成立し、姉弟の縁は切れずにすみました。

◎減殺請求権が侵害額請求権(金銭債権)に変わったことで、今後は遺留分を考慮した遺言の作成や、生命保険などを活用し金銭債権に対応できる資金の確保など一定の配慮が必要となります。

ツイてる ツイてる 野口レポートNo273

「結婚とは自分と一番相性の悪い人が一緒になることです。だから永平寺に3年いくより、よっぽど修行になりますよ。相性の悪い人にめぐりあったら、この人と結婚するんだなあ~、おれは修行をするんだと思えばいいのです。」これは斉藤一人さんの名言です。

結婚とは人生最大の修行かも知れませんね。修行の辛さに耐えかねて途中でやめてしまう人もいます。が、この修行は一度始めたら生涯続ける覚悟が必要です。まして自分が選んだ道ならなおさらです。

個人情報などの理由で今は公開されていませんが、斉藤一人さんは全国長者番付の常連です。すでに金メダル、銀メダル、銅メダルを勝ちとっています。しかもすべてが事業所得です。イチローもすごいが、一人さんもすごいです。

全国長者番付一位とは、日本で一番税金を払っている人、ある意味では社会に貢献していることになります。

利益があがると、やたら節税を指導する先生や、税金を払いたがらない経営者がいます。どうせ税金に取られるなら、経費になるからと節税目的の生命保険に入ったり、まだ使える車を買いかえたり、分相応な社員旅行を行ったり、目先の節税に走る人がいます。

不必要な経費を使い利益を圧縮したら会社にお金は残っていきません。

税金を払うから会社にお金が残るのです。この積み重ねた内部留保が会社の底力となり非常時の兵糧となります。

 

「ツイてる ツイてる」は、一人さんがいつも口にしている言葉です。

何ごとも必要あって起こること、だからありがたいこと、何があっても「ツイてる ツイてる」です。

ながい人生には運の悪いできごとや、不幸なできごとは必ずやってきます。一人さんはそんな時でも、「ツイてる ツイてる」気がつけば億万長者です。「ツイてる ツイてる」はマイナスをプラス思考にかえてしまう「心のおまじない」です。

遺産相続は、時には恨み辛みが生じる最たるものです。辛い思いをした当事者としては、恨むな、恨むなと言われても恨みたくなるのは人情です。相手を恨めば、また自分に還りエンドレステープのごとく続きます。恨みは自分から断ち切る必要があります。

江戸時代は「仇討免許状」があれば、主君や親の恨みは堂々と晴らすことができました。相手にも返り討ちは認められていましたが、仇討の仇討は禁じられており、恨みの連鎖を防いでいたのです。

ある相続で後妻さんが、遺留分減殺請求を受けました。幼い先妻の3人の子を、我が子のように愛情を持って育て立派に成人させた人です。そのなかの1人から「恩を仇で返す」まさかの遺留分減殺請求です。

継母の恩を忘れなぜ遺留分減殺請求などしたのでしょうか。いずれ自分の愚かさに気づき生涯悔やむことでしょう。

後妻さんに会うたびに、恨むな、恨むなと言い続けてきました。1年が過ぎたころ「野口さんに言われるので、そう思えるようになり気持ちが楽になりました。」とお礼を言われました。恨み辛みが消えたとき不運が幸運に転じツキに恵まれます。

相続は専門家の選択できまる 野口レポートNo272

相続税には次の三つのパターンがあります。

(1)遺産が相続税基礎控除のなかに収まり相続税の課税されない人。

◎この層への対応⇒ 相続税の申告義務はありません。遺産分割には期限がありません。が、先送りすると相続人が枝分かれし、相続が複雑になる可能性があります。速やかに手続きすることが望ましいです。

◎対応する専門家⇒ 相続人確定と相続登記の司法書士。

(2)申告をすることで、小規模宅地や配偶者の税額軽減などの特例が受けられ相続税が課税されない人。 

◎この層への対応⇒ 自宅に同居しその敷地を相続し、申告期限までに引き続き住めば、その敷地330㎡までは80%評価減となります。正に相続税の大バーゲンです。また配偶者が相続する遺産の法定相続分もしくは1憶6000万円までは配偶者の税額軽減で課税なし、要件を満たし、これらの特例を使うことで相続税の課税はありません。

◎対応する専門家⇒ 相続人確定と相続登記の司法書士、特例の相続税申告をする税理士。

(3)遺産が多く特例を受けても相続税の納税が必要な人。

◎この層への対応⇒ 相続開始後10ケ月までに相続税の申告と現金一括納付が求められます。①遅くとも2ケ月以内に相続税の概算を出す。②土地の換金で納税資金を調達する場合は、売却土地の速やかな遺産分割、確定測量、土地売買契約の締結。

特に納税額が数億円単位の地主さんは、コーディネーターが、税理士、土地家屋調査士、司法書士、不動産業者をリードし、いかに10ケ月以内に相続税を現金一括納付させるかに全力を尽くします。

◎対応する専門家⇒ 税理士、司法書士、土地家屋調査士、不動産業者、絶対条件として相続に精通した人でなければなりません。特に要となる税理士の選択は重要です。遺産分割の司会進行ができるか、減価要因を見逃さず適切な土地評価ができるか、税務調査に耐えられる申告ができるか、確定申告や法人決算が内科医なら、地主相続は外科手術のようなもの、資産税に特化した外科医が必要です。

次に重要なポストは土地家屋調査士です。期限内に土地を売却し納税資金を確保しなければなりません。相続での土地家屋調査士の役割は測量だけでなく、隣接地主からすみやかに境界確定や越境物解消の覚書のハンコをもらえるか、人間力が求められる仕事になります。

不動産業者もお客様の事情を理解し、単に価格だけでなく10ケ月の期限内に確実に残金決済ができる買主を選ぶことが大切です。

このように相続にかかわる専門家の選択は非常に重要です。一般人には、税理士、司法書士、弁護士など、士業と呼ばれる人の能力や人間力に差があることなど分かりません。

相続人に代わり、適切な専門家を選んで差し上げることも、相続コーディネーターの大事な役目です。

相続は相続人の人生すら変えてしまう責任の重い仕事です。何を知っているかでなく、誰を知っているかで決まります。そんな専門家に出会えるか、それはもう「運」の世界です。

相続対策の優先順位を誤らない 野口レポートNo271

相続対策には大きく分けて次の三つがあります。

(1)遺産分割対策 ①市街地山林、貸地、古アパートなどの不良資産を生前に整理整頓し分けやすい財産にしておく。②公正証書遺言や付言事項の作成により、財産分けが円滑に進むよう準備をしておく。

(2)相続税納税対策 ①生命保険の活用で納税資金の確保。②生前に相続税を試算し、納税のため売却する土地を選別し、確定測量などを済ませ、10ケ月以内に換金し、現金一括納付ができるようにしておく。

(3)相続税節税対策 ①アパート建築等で不動産の評価を下げる。②資産を相続税評価の低い財産に組み替える。③養子縁組で相続人の数を増やす。④生命保険の非課税の枠を使う。

この三つの対策が同じ方向を向くなら、相続対策を失敗する人はいないでしょう。時には真逆の方向に進むので注意が必要です。

仮の話です。極端な例になりますが説明してみましょう。

◎4億円の土地に4億円の借金をして賃貸マンションを建てました。建築費4億円のマンションの相続税評価は約半分の2億円になります。 だが借金は4億円のままで価値は変わりません。この差に節税効果が生じます。とりあえず節税対策としては成功しました。

◎相続税を減らすことばかりを考え、納税対策をなおざりにしてしまいました。いざ相続が開始し相続税が払えません。しかたなくこのマンションを売却し納税することにしました。 

借金を清算したら残ったお金だけでは相続税が払えません。納税対策を優先し、土地を駐車場にしておけば4億円で売却でき相続税は余裕で払えました。かつ手元にお金が残り遺産分割の原資になったはずです。状況を考えず節税対策を優先してしまった結果です。

◎何とかお金をかき集め相続税は納付できました。大きな財産はこのマンションです。相続人は子が3人です。しかたなく1/3の共有となりました。相続での不動産共有はやってはいけません。後の不動産共憂となります。節税対策を優先してしまい遺産分割は失敗です。

このようにこの三つの対策は同じ方向を向くとは限りません。ならばどの対策を優先しなければならないか見極めることが大切です。

未だに、相続対策=節税対策と思い込んでいる人、借金すると相続税が減ると思っている人もたくさんいます。

先般の相続税基礎控除の改正で、今までは相続税の心配が全くなかった層に納税義務者が続出しています。これらの層に課税される相続税は約50万円~300万円位です。庶民にとっては大金かも知れません。だが、払えない金額ではありません。払ったらそれで終わりです。

税制改正でハウスメーカーなどが、節税対策として二世帯住宅や賃貸併用住宅の建築をすすめています。賃貸併用住宅など自宅部分は生涯空室を抱えるのと一緒です。35年のローンは辛いものがあります。返済が滞り抵当権を実行されたら自宅を失うことになります。

節税対策で300万円の相続税は払わなくて済みました。しかし、多額の借金を背負いこまされ、減った相続税の何倍もの金利を払わなければならないか、冷静に考えれば分かるはずです。

正しい知識と正しい贈与 野口レポートNo270

今回は生前贈与についてお話してみましょう。贈与は契約行為であると認識することが重要です。

贈与者の「あげます」の申し込みに対し、受贈者の「もらいます」の承諾があり、互いの意思が一致して初めて贈与契約が成立します。贈与者のあげるとの意思(一方通行)だけでは贈与契約は成立しません。ここは大事なポイントです。

贈与契約が成立しているのか、単なる名義預金なのか、相続税申告でもこの判断は悩ましいところです。

中元歳暮を考えてみましょう。「いつもお世話になっています。つまらないものですがほんの気持ちです」⇒あげるという意思表示です。「ご丁寧にありがとうございます。」⇒もらうとの承諾です。

申し込みに対し、承諾があり、互いの意思が一致するので、中元歳暮も立派に贈与契約が成立します。

神社仏閣のお賽銭も同じです。お賽銭を投げ入れることは「あげる」との意思表示です。それに対し賽銭箱のフタが開いていることは「もらいます」との承諾であり贈与契約が成立します。

生前贈与は1年間1人に対し、基礎控除の110万円までなら課税されない「暦年贈与」があります。12月31日に110万円贈与しました。翌日の1月1日に110万円贈与しました。1年間に1回なので暦年贈与です。実質は1年間に220万円贈与したのと同じです。 

ただし、相続開始3年以内に行った贈与は相続税計算上いったん相続財産(払った贈与税は控除される)に戻さなければなりません。

もうひとつは「相続時精算課税制度」があります。1月1日現在60歳以上の直系尊属(祖父母や父母)から20歳以上の子や孫へ2500万円までの贈与は申告すれば、取りあえず贈与税は払わなくて済みます。

この制度を使った贈与は、相続開始時に「贈与時の評価」で相続財産に戻し、精算しなければなりません。

不動産や株式の贈与はリスクが生じる可能性があります。1億円で贈与した土地が相続開始時には7000万円に下落していても、贈与時点の1億円の評価で申告です。この逆なら節税効果が生じます。また一度この相続時精算課税制度を使ったら、暦年贈与は生涯使えません。

「住宅取得等資金の贈与」直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の制度です。一定の要件(要件により金額は異なる)を満たせば適用されます。

息子が自宅を新築しました。この制度を知った父親が住宅資金の援助をしたいと、2500万円を建築会社に直接振り込んでしまいました。状況によっては単純な贈与とみなされる可能性があります。

あくまでも息子が住宅を取得するための「資金」でなければなりません。父親が2500万円の「現金」を子に贈与することが大切です。現金を贈与された子が建築会社に払えば非課税です。

法律や税法は万民が公平であるがため存在します。だが正しい知識を知っているか、知らないかでは大きな不公平が生じます。そして法律も税法も知らなかったは通用しません。