相続と所有者不明土地 野口レポートNo297

不動産登記簿を見ても、現在誰が持っている土地なのか分からない。所有者不明土地は全国の土地の20%を占めるそうです。

原因は相続登記の不備が最も多く、次は住所が変わっても住所変更の手続きをしていないことです。

遺産分割協議が整わなければ、土地も相続登記ができません。次から次へと枝分かれしていきます。

孫の子⇒     ひ孫・曾孫(そうそん)
孫の孫⇒     やしゃご・玄孫(げんそん)
玄孫の子⇒    来孫(らいそん)
来孫の子⇒    昆孫(こんそん)
昆孫の子⇒    仍孫(じょうそん)

ある土地と建物があります。すでに50年前には空家になっていたそうです。老朽化し屋根が落ちています。近隣住民の訴えで役所も放っておけず所有者の調査をしました。

所有者200人、93人が存命しており、相続登記をしないままに「来孫」まで枝分かれしています。

「全国の土地の20%が所有者不明土地である」この憂しき問題を何とかしなければと、民法・不動産登記法の改正法案が国会に提出されました。いくつか流れを紹介したいと思います。

◎土地の相続登記の申請義務化
相続によって土地の取得を知った者は、知った日から3年以内に登記をしないと10万円以下の過料が課せられます。また、所有者の住所が変更になった場合は、正当な理由なく住所変更から2年以内に登記の変更申請をしなければ5万円以下の過料が課せられます。

◎遺産分割に期限が定められる
現行民法には遺産分割に期限の定めがありません。何年経っても遺産分割協議が整わない、世間にはよくある話です。改正法が成立し施行されると、相続開始時から10年が経過し、遺産分割協議が整はない時は、遺産は法定相続分で強制分割されることになります。土地も法定相続分で登記されます。つまり遺産分割に10年の期限が定められることになります。

◎土地所有権の国庫への帰属が可能となる
土地の所有権は放棄することができません。この制度は結果として「土地を捨てることができる」画期的な制度だと思います。

一定の要件(物納要件に近い)を満たした土地の所有者は、その土地の所有権を放棄し国庫に帰属させることに対し、法務大臣の承認をもとめることができるようになります。相続でまったく価値のない土地(負動産)を所有し、困っている人はたくさんいます。この制度の創設が一筋の光になればよいのですが。

思いきった改正ですが、所有者不明土地が、国土の5分の1になるまで、放っておいた政府の対応はいかがなものかと思います。