コロナウイルス 中條レポートNo227

コロナウイルス騒動。様々な憶測がニュース、ネットで流れ人の心を混乱させます。見えない存在に対する不安が不安をあおります。

危惧するのは不安により猜疑心・恐怖心が膨らみ、個々人が暴走することです。
心の中から湧き出る猜疑心・恐怖心は際限がなく、抑制が効かなくなるからです。(相続の現場でも不安・猜疑心が争いを助長させます。肌で感じることです)

暴走しないためにはどのようなことが必要か。
もちろん、国や行政の施策が大切になります。正確な情報の基、正しい方法を国民に周知し徹底させる役割は大きいです。

しかし、それよりも大切なのは我々国民の一人一人の心の持ち方です。
コロナにかかったかもしれないと、皆が病院へ行ったら医療崩壊します。必要な人に必要な医療が施せなくなります。
買占めも同様です。必要以上にものを購入すると品物は亡くなるのは必然です。

個々の満足を満たそうとすることが、社会全体にとって悪影響を及ぼす結果になるのです。個々の行動が、これほど社会に影響する事象はないかもしれません。

心得ておくべきことは、コロナウイルスが最後ではないということです。今後、致死率が高い強力なウイルスが発生することは十分にありえます。(コロナウイルスが変化し強力になる可能性もあります)ウイルスがこれほど社会に影響を与えることがわかると、細菌兵器の開発も進むかもしれません。

 それ故、今回のコロナウイルスを教訓とし学ばなければなりません。正しい知識・情報は現場から得られます。
繰り返しますが、大切なのは、正確な情報のもと、個々人が秩序ある行動を行うことです。(個々人が暴走すると正確な情報が伝わらなくなります)

日本人は理性が働く秩序ある国民です。
世界の模範となる行動が出来るかどうか。
日本人のように行動することがウイルス対策で一番効果があることを世界に知らしめることを期待したいです。

遺言 中條レポートNo226

相続対策で一番難しいことは、亡くなる時期がわからないことです。
そして亡くなる時の、自身の一族の状況がわからないことです。

この影響を大きく受けるのが遺言です。
「遺言は元気な内に書きましょう
よく聞く言葉です。元気がなくなり、意思能力が衰え低下すると遺言を書けなくなるからです。

しかし、元気な内に書くということは、亡くなるまでの時間も長いということです。時間が長ければ長いほど、先述したことが問題になります。

「遺言は修正することが出来る。状況が変わったら書き変えればよい」
これは言うは易し、行うは難しです。遺言をつくるのにはエネルギーがいります。そのエネルギーがいつまで続かが問題です。逆もあります。エネルギーが亡くなり、意思能力が衰え、遺言の書き変えを強要され書き変えてしまうことも……。

では遺言は役に立たないのか。そんなことはありません。

遺言者の一族にとって、望ましい資産の承継方法があるはずです。しかし、その承継方法は決して法律通り(法定相続分)ではないはずです。そうであれば、法律を変える手段を選択しなければなりません。何故ならば、一族にとって最善な分割方法も、法律(法定相続分で分割)には勝てないからです。(だから争いになるのです)

この法律を変える手段が遺言です。法律で定められた法定相続分を修正出来るのです。
但しこの方法を実行できる人は1人しかいません。それは亡くなる予定の被相続人の方です。そして出来るのは意思能力がしっかりしている間です。

遺言は万能な手段ではないことは事実です。しかし、正しい資産承継をするための重要な手段であることは間違いありません。
肝心なのは、遺言者自身が資産承継方法を正しく選択すること。そして、その選択方法を遂行することが財産を遺していく者の責任だと自覚することです。

遺産分割協議書 中條レポートNo225

遺産分割協議書とは、亡くなった方の預貯金や不動産をどう分けるのかを決めるものです。そして決めた通りに手続をしていくための指示書になります。

この遺産分割協議書を有効に成立させるための絶対的条件があります。
それは、亡くなられた方の相続人が全員納得して、証明捺印(実印)することです。一人でも反対者がいたら成立しません。(その遺産分割協議書で手続出来ません)

多数決ではないということです。
相続人はそれぞれ、考えが違います。生まれてからの歴史も違います。

それ故、意見が異なることは当たり前にあります。そして、それぞれの相続人は自分に正義がある(正しい)と考えがちです。(それゆえ争いになります)

それでは、遺産の分け方に「正解」はあるのでしょうか。
答えは「NO」です。
「正解は、相続人の皆様の心の中にある」としか言えません。
皆が合意した内容が正解なのです。

相続手続を担う人は、相続人の意見に対して正否を決めることはしません。また相続人に対して説得・交渉・指示は出来ません。

但し、間違った知識を元に意見が出ているのであれば、知識の修正はします。

間違った知識で多いのは、不動産の財産価値です。(借地権・貸地、広大地、賃貸アパート、農地、山林、等の特殊な不動産)もちろ価格は売却してみないと解りません。但し、価格の決まり方や市場性は客観的に説明出来ます。

 又、争うことの不利益は相続人全員にしっかりと説明します。
相続税の申告が必要な場合は申告期限までに遺産分割が成立しない場合。遺産分割が話合いでまとまらず家庭裁判所へいって協議する(争う)場合。等々です。

相続手続を行う人は、上記のことを根気よく行うことが大切です。
“相続争いをさせずに相続手続を進めていく”
この役割は大きいです。

ソーシャルワーク 中條レポートNo224

ソーシャルワークとは、何らかの要因で「当たり前な生活」が脅かされた方(認知症、病気、障害、貧困、等々)を、社会的資源(公的支援、介護、医療、ボランティア、自治会、近隣住民支援、等々)に繋げ、本人に寄り添い支援していくことです。その担い手のひとつが社会福祉士です。

人の生活上起こる様々な困難は、その人と環境との接点で起こります。単にその人に問題があるとか、周囲の側だけに問題があるとかではありません。
ですから、医療や心理などの分野のように、その人そのものを治療したり改善させたりするものとは異なります。また、環境だけを改善させようとするものとも異なります。
ソーシャルワークでは、この接点を改善していきます。

後見業務を行っているとこのことがよくわかります。
身寄りのない独居の方は、意思能力が少しずつ衰えていき、生活が困難になっていくことがあります。社会との関りを拒否している方や、「面倒みてやってる」と思われるのを嫌う方等、社会から距離を置いていると周囲も気が付きません。気が付いたときは取り返しのつかない状態になっているということもあります。

このようなケースで、問題が本人あると捉えたり、環境が悪いと捉え、一方だけを改善させようとしても状況は変わりません。
どのような生活状況にいるのかを出発点とし、本人をとりまく環境との接点はどこか。その接点はどのように働いているのか、改善出来るのか。そのために本人が出来ること、環境をマッチアップする方法何かを考え実行していくことが求められます。

人と環境との接点は人それぞれ異なります。そして個人や家族、集団、地域の接点を単体で見るのではなく、繋がりで見ていくことが重要になります。援助者が、マニュアル通りに特定の方向に導いていくものではありません。

本人に寄り添い、ここを調整する専門家がソーシャルワーカーです。
「当たり前な生活」が脅かされている人が増えています。
ソーシャルワークはどのような役割を果たすのか。何故社会に必要なのか。
これらの重要性を社会が理解し、ここをケアできる専門家を増やすことが、この問題を改善させるために欠かせません。

寄与分 中條レポートNo223

寄与分とは亡くなった方に尽くした相続人にはその分、多くの財産を与える制度です。

母親が亡くなった時の財産が5,000万円。相続人は長男・次男の二人。長男が母親に尽くした分(これを寄与分という)が1,000万円とします。遺産分割の対象は寄与分1,000万円を外し4,000万円となります。長男は寄与分1,000万円と法定相続分(二分の一)2,000万円の合計3,000万円を相続出来るという制度です。

問題はこの寄与分の金額をどのようにして決めるかです。
相続人間の話し合いか、話合いがつかなければ裁判所で決めることになります。

 この寄与分の金額が話合いで決まるでしょうか。
上記の例で、寝たきりの母親の面倒を一切みなかった次男が、献身的に介護した長男に財産の二分の一を要求していたとします。そんな次男が長男に
「兄貴がお母さんを一生懸命介護したんだからその分多くもらいなよ」
と言うでしょうか。(言ったとして、長男が満足する金額を提示するでしょうか)

兄が法定相続分では納得いかず争いになった時、相続分を増やすため寄与分は持ち出されます。だから、多くの場合、話合いで決まらず裁判所で決まるのです。

但し裁判で決まる金額は苦労が報われる金額とはなりません。子が親に尽くすのは当たり前だというのが法律の考え方だからです。特別に尽くした事でなければ寄与分の金額に反映されないのです。

相続法の改正で特別の寄与制度が創設されました。(令和元年7月施行)
相続人でない親族でも尽くした分、財産を貰える制度です。想定しているのは、両親の面倒を見た、長男の嫁ということなのでしょう。

しかし、寄与分以上に面倒です。話合いで決まらなければ、裁判所に請求しなければならず、請求出来る期間制限⦅相続開始を知ってから6か月(相続開始後1年)以内⦆があります。貰える金額は通常の寄与分と同様、苦労が報われる金額とはなりません。

「寄与分」も「特別の寄与制度」も使いにくく、貰える金額も実態を反映されていません。だから、これらの制度を当てにすることなく「尽くしてくれた人にはその分しっかりと遺言を書いておく」ということが重要となります。

ケアパス 中條レポートNo222

ケアパスとは、認知症になっても、住み慣れた地域でくらすための目安を示したもので、認知症の状態に合わせた生活方法、自治体の相談窓口、利用できる医療機関や施設を分かりやすく記したパンフレットです。(小田原市でも配布しています)

ケアパスの目的は「自分らしく、安心して、暮らしていくために」です。
ケアパスには認知症の段階別の症状が以下のように記載されています。

認知症の初期。
・物忘れが多くなってきた。・財布の中に小銭が増える。・会話の中に「あれ」「それ」など代名詞がよく出てくる。・片付けが苦手になる。・物がなくなる。

見守りが必要になってくる段階。
・金銭管理が難しくなる。・探しものをする時間が増える。・必要な物を必要なだけ買うことができない。・同じことを繰返し聞く。

 手助けが必要になる段階。
・薬を間違えて飲む・たびたび道に迷う・季節にあった服が選べない・家電の操作が難しくなる・生活リズムが乱れる。

 常に手助けが必要な段階。
・トイレの場所がわからない・道に迷って帰ってこられない・日にちは季節がわからなくなる・洋服の着方がわからない・食べ物でないものを口に入れる。

キーワードは「抱え込まずに、まず相談」です。
抱え込んで一人で悩むと迷路に入っていきます。地域には資源がたくさんあります。そこにつながることです。

高齢者のよろず相談所である地域包括支援センターや、かかりつけ医からは専門的なアドバイスがもらえ、本人にあった調整方法を知ることできます。

相談することで家族が気持ちを落ち着かせることが出来ます。家族の理解が本人を安心させ症状の変化にも影響してきます。

ケアパスは認知症全体を把握出来るマップになります。
是非活用してください。

意思能力対策 中條レポートNo221

認知症になると徐々に意思能力が衰えていきます。衰えが進行し判断能力がないと見做され不動産の売買、遺産分割協議、等々の法律行為が出来なくなります。

お母様がお母様名義の家に一人住んでいた方のお子さんからの相談です。

お母様が脳梗塞で倒れ入院されました。幸い近くに人がいてすぐに病院へ搬送されたので症状は軽く、程なく退院し自宅に戻ることが出来ました。

遠方に住むお子さんの心配事です。
「最近物忘れが多くなり一人で暮らしているのが心配です。本人は自宅で暮らすことを強く望んでいるのですが、施設も考えなければならないと思っています。しかし施設に入るにはお金も必要です。母親名義の自宅を売却して賄うしかありません。

認知症が進むと、家を売ることが出来なくなるそうですね。そんなときに利用するのが成年後見制度だそうですが、大変な制度だと聞きました。出来れば後見制度を利用したくありません。何か良い方法はないでしょうか」

 最近多い相談です。判断能力がある程度あれば、次のような提案が出来ます。

方法の一つが家族信託です。子供が受託者となり、不動産を子供の名義にして管理します。入所費用が必要になったら子供が不動産を売却し施設費用に充当していきます。

自宅を母親から子供に贈与する方法もあります。贈与税対策として相続時精算課税制度を利用します。施設に入る時、子供が自宅を売却し入所費用に充当します。売却代金は子供のお金ですが、子供が母親を扶養するために支出する費用は贈与になりません。

上記のような提案はよさそうですが、費用もかかり、注意事項も多くあるため実行出来ない事も少なくありません。

なんとか一人暮らしが出来ていると、何もせずに時間だけが過ぎていきます。

そんなとき、子供がお母様を連れ施設見学に行きました。なんと、お母様は施設を気に入りました。その時のお母様の判断能力は衰えていたといえ、不動産を売却するには十分でした。お母様が不動産を売却し、売却した代金で施設に入所しました。

 「将来施設入所が必要になるんだから、勉強のつもりで見に行こうよ」と見学に行ったことが難しい対策や、後見制度を利用せずに施設入所につながったお話です。

意思決定支援 中條レポートNo220

認知症等で意思能力が衰えた方(以下「本人」という)を支援する成年後見制度の理念の一つに「意思決定の尊重」というものがあります。これは、本人が自分で判断して決めたことを尊重するという考え方です。

最近では、意思決定の尊重を一歩進めて「意思決定支援」が大切だと言われています。本人が自分で決めることを支援し、決めたことを実行するのです。決める内容は、本人の意思能力の程度に応じて様々です。

意思決定支援の現場で支援者が気を付けなければならないことです
1、本人の言葉をそのまま本人の自己決定と捉えていないか。本人が決めたのだから、本人の自己責任だと支援者の責任を逃れていないか。
2、支援のしやすさを優先していないか。支援のための根拠付けになっていないか。3、サービス先にありきの既存サービスを当てはめるだけの検討に終わっていないか。4、結論が先にありきになっていないか。後付けの根拠資料として使われていないか。

常に気を付けていないと陥ってしまうことばかりです。これらを実践することは並大抵のことではないことがわかります。

また現場では次のような過ちを犯しがちです。

 本人に大きな影響を与える人が、本人にとってこの方法が良いと判断して、その方法を押し付けてしまうことです。

本人のためになるから、これが本人の意思だと勝手に判断して行うのです。しかし意に沿わない方法を押し付けられていたとしたらどうでしょうか。

嬉しくないですよね。

「こんなに本人のためにやっているのに」と支援者が思っていても、本人が支援者に心を開かないとき、原因の一つはここにあると思います。

本人が「自分のことを自分で決めることが出来ない」ことのおかしさ。ここに支援者が気付くことが自己決定支援の第一歩ではないでしょうか。

「その人らしく」という成年後見の理念に立ち返り、この一歩を念頭に置き行動していくことが大切だと思います。

遺言の必要性 中條レポートNo219

「何故遺言を書くのか」
遺言が無い場合のことを考えると答えがでます。

遺言がない場合は、相続人全員が話し合い、相続人全員の合意で遺産分割をします。全員の合意がなければ出来ません。一人でも反対者がいたら出来ないのです。

話合いがまとまらなければどうなるでしょうか。
最後は裁判所が民法に書かれている相続分に従って決めます。

民法は平等です。でも公平ではありません。

親の面倒をみて家の事を一生懸命やった子と、家に一切近寄らない子と、民法では相続分がイコール(平等)です。この民法を基準に裁判官が判断します。

おかしいと思うかもしれませんが、裁判官の想いで法を変えていたら、法が法でなくなります。ですから、どんなに理不尽であっても法律通りとなります。

これが遺言を書く理由です。
遺言があれば、遺言者の意思で公平(≠平等)に財産を分けられます。

しかし、遺言を書いてから亡くなるまで年月が経過すると状況がかわることがあります。遺言を書き変えることが出来ればよいのですが、書き変えず亡くなってしまうこともあります。遺言どおりに分けると不都合が生じてしまいます。

その場合、相続人全員の合意があれば、遺言と違う財産の分け方をすることが出来ます。遺言は使いませんが、遺言者の遺志が遺産分けの重要な指標になります。

全員の合意をとるための重要なことは、遺言で多く財産を貰う人が、自身の相続分を他の相続人に譲りながらまとめていくことです。どうしてもまとまらなければ、遺言を執行することになります。

日本人は話し合いが苦手です。まして財産の分けかたを、財産を貰う人同士で決めるのは大変なことです。ぼたんの掛け違い、感情のもつれから、争う必要がない場合でも、争族になってしまうことがあります。

この大変さ、不合理さを無くせるのは、財産を遺す人だけです。
民法で定められた相続分で分けると不公平だと思う方、遺言を考えてみてください。

遺言の落とし穴 中條レポートNo218

「全ての金融資産を長男〇〇〇に相続させる」
という遺言がありました。この金融資産に現金が含まれるかどうか。これは諸説あります。

「全ての有価証券を遺贈する」
と書かれた遺言で、預金は有価証券に該当するのか否か。
「全ての株式を遺贈する」
と書かれた遺言で、投資信託が含まれるのか否か。

含まれるか否かの争いで裁判になることもあります。
争いを防ぐための遺言書が争いの元を作ってしまっては本末転倒です。

「全ての金融資産および現金を長男〇〇〇に相続させる」
というように遺言書に明記しておくだけで争いは防げます。

 遺言書に預貯金の残高が書いてありました。
死亡時、遺言時の残高より増えていた場合は、増えた分に関しては、遺言の対象外となってしまいます。その分は相続人全員で貰う人を決めなければなりません。
ですから通常は残高までは記載しません。

遺言書作成時点で貸金庫がなくても「貸金庫の開扉権限を与える」という遺言執行者(遺言の内容を実現する人)の権限が書かれていることがあります。将来貸金庫を設けることに備えて、念のためこの文言を入れるのです。
しかし不信感を持つ相続人から「貸金庫にあった財産はどこにある」とあらぬ疑いをかけられてしまうこともあります。
このようなことに備え「遺言時には貸金庫は存在しないが、将来貸金庫契約を締結したときには」と書いておくことも一考です。

 民法改正で自筆証書遺言が増えていくことが予想されます。ネット等で勉強し遺言書を作成するのでしょうが、落とし穴は潜んでいます。

上記のように、文言を修正するだけで、無用な争いを防げることが多くあります。専門家にチェックしてもらうことも検討してみてください。