成年後見制度は、判断能力が不十分な方を保護し支援するための制度です。現行制度では、家庭裁判所で後見開始の審判が出ると、原則として本人が亡くなるまで後見が続きます。このため、状況が変化しても「途中でやめる」ことは難しく、支援内容や期間を柔軟に見直せないという課題がありました。
今回の見直し議論では、以下のような方向性が検討されています。
〇途中終了の明確化支援が不要になった場合や、他の支援制度に切り替える場合に、家庭裁判所の判断で後見を終了できる仕組みを整備する。
〇期間設定型後見の導入
最初から一定期間のみ後見を行い、その後は延長の要否を判断する方式を検討。
もっとも、後見終了には新たな課題も伴います。
〇金融機関の対応
後見終了後、預金の引き出しに際し、金融機関が「後見人がいないと取引できない」と判断することが予想されます。終了の事実を適切に伝え、本人や家族が円滑に取引できる仕組みづくりが求められます。
〇施設側の対応
施設入所時に「後見人がいるから契約を受けた」ケースで、後見が終了した時の施設がどのように対応するかが問題です。契約条件や支援体制の見直しが求められます。
〇業務量増大
後見終了に伴い、後見業務に携わる関係者、家庭裁判所の業務量の増加が予測されます。増加することにどのように対応するかが現場では問題視されています。
制度の柔軟化は、本人の権利擁護と生活の安定をどう両立させるかが鍵です。
後見を終了しても、金融取引や生活環境が途切れないための連携体制を整えることが不可欠です。
改正が実現すれば、成年後見制度は「一度始めたら続く制度」から「状況に応じて使い分ける制度」へと変わっていくでしょう。
そのためには、利用者・家族・専門職・関係機関の情報共有と実務ルールの整備が重要となります。