死後事務委任契約 中條レポートNo239

人が亡くなった後に行う手続はたくさんあります。

死亡届に始まり、遺体の引取り、葬儀、納骨、知人への連絡等々多種多様です。
これらは通常は親族が行います。では親族がいない方、いても縁遠くなっている方は、自分が亡くなった後どうするのでしょうか。

 このような悩みに応えるため、生前に自分の死後の手続を第三者にお願い(委任)するのが死後事務委任契約です。

但し「私が死んだら、財産を○○に与えてくれ」というのは遺言で行うことです。死後事務委任契約では出来ないこともあることに注意です。

死後事務委任でお願いする代表的なことは
葬儀・納骨、納骨後のお墓の管理。住居の明渡し、家財の処分。医療費等の未払い金の精算。親族・知人への連絡。各種届出、公共料金の支払い停止。等々です。

 有用な制度ですが問題点もあります。

本人死亡後に行う手続ですので、当然本人はいません。また、委任してから死亡するまで時間があるため、実行性に問題が出ることもあります。

また死後事務委任契約は近時でてきたものです。
「死後事務委任の内容が遺言事項に抵触するか否か」等は事例の蓄積が少なく、実務上の判断が難しいことが多いのが現状です。

委任事項に相手方が応じてくれるか(相続人等しか出来ないと定めている事項も多い)も問題です。受任者では手続が出来ないこともあるからです。

また、手続をスムーズに進めるためには、相続人と協力して行うことも必要になります。本人が亡くなると、委任者の地位は相続人に移るため、受任者は相続人への報告義務があるからです。(但し、契約には相続人は原則・契約内容を変えられない旨を記載します。相続人が内容を変えることが出来たら、委任者の意図通りに出来なくなるからです)

独居高齢者が増えています。死後事務委任契約に対する需要も増えるでしょう。
「本人にとって何が問題になるのか」
総合的な視点から、制度利用の適否、利用するのであればどのような契約内容にするのかを提案し、心配無く暮らしてもらえるようにしたいものです。

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