意思能力対策 中條レポートNo221

認知症になると徐々に意思能力が衰えていきます。衰えが進行し判断能力がないと見做され不動産の売買、遺産分割協議、等々の法律行為が出来なくなります。

お母様がお母様名義の家に一人住んでいた方のお子さんからの相談です。

お母様が脳梗塞で倒れ入院されました。幸い近くに人がいてすぐに病院へ搬送されたので症状は軽く、程なく退院し自宅に戻ることが出来ました。

遠方に住むお子さんの心配事です。
「最近物忘れが多くなり一人で暮らしているのが心配です。本人は自宅で暮らすことを強く望んでいるのですが、施設も考えなければならないと思っています。しかし施設に入るにはお金も必要です。母親名義の自宅を売却して賄うしかありません。

認知症が進むと、家を売ることが出来なくなるそうですね。そんなときに利用するのが成年後見制度だそうですが、大変な制度だと聞きました。出来れば後見制度を利用したくありません。何か良い方法はないでしょうか」

 最近多い相談です。判断能力がある程度あれば、次のような提案が出来ます。

方法の一つが家族信託です。子供が受託者となり、不動産を子供の名義にして管理します。入所費用が必要になったら子供が不動産を売却し施設費用に充当していきます。

自宅を母親から子供に贈与する方法もあります。贈与税対策として相続時精算課税制度を利用します。施設に入る時、子供が自宅を売却し入所費用に充当します。売却代金は子供のお金ですが、子供が母親を扶養するために支出する費用は贈与になりません。

上記のような提案はよさそうですが、費用もかかり、注意事項も多くあるため実行出来ない事も少なくありません。

なんとか一人暮らしが出来ていると、何もせずに時間だけが過ぎていきます。

そんなとき、子供がお母様を連れ施設見学に行きました。なんと、お母様は施設を気に入りました。その時のお母様の判断能力は衰えていたといえ、不動産を売却するには十分でした。お母様が不動産を売却し、売却した代金で施設に入所しました。

 「将来施設入所が必要になるんだから、勉強のつもりで見に行こうよ」と見学に行ったことが難しい対策や、後見制度を利用せずに施設入所につながったお話です。

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