遺言の落とし穴 中條レポートNo218

「全ての金融資産を長男〇〇〇に相続させる」
という遺言がありました。この金融資産に現金が含まれるかどうか。これは諸説あります。

「全ての有価証券を遺贈する」
と書かれた遺言で、預金は有価証券に該当するのか否か。
「全ての株式を遺贈する」
と書かれた遺言で、投資信託が含まれるのか否か。

含まれるか否かの争いで裁判になることもあります。
争いを防ぐための遺言書が争いの元を作ってしまっては本末転倒です。

「全ての金融資産および現金を長男〇〇〇に相続させる」
というように遺言書に明記しておくだけで争いは防げます。

 遺言書に預貯金の残高が書いてありました。
死亡時、遺言時の残高より増えていた場合は、増えた分に関しては、遺言の対象外となってしまいます。その分は相続人全員で貰う人を決めなければなりません。
ですから通常は残高までは記載しません。

遺言書作成時点で貸金庫がなくても「貸金庫の開扉権限を与える」という遺言執行者(遺言の内容を実現する人)の権限が書かれていることがあります。将来貸金庫を設けることに備えて、念のためこの文言を入れるのです。
しかし不信感を持つ相続人から「貸金庫にあった財産はどこにある」とあらぬ疑いをかけられてしまうこともあります。
このようなことに備え「遺言時には貸金庫は存在しないが、将来貸金庫契約を締結したときには」と書いておくことも一考です。

 民法改正で自筆証書遺言が増えていくことが予想されます。ネット等で勉強し遺言書を作成するのでしょうが、落とし穴は潜んでいます。

上記のように、文言を修正するだけで、無用な争いを防げることが多くあります。専門家にチェックしてもらうことも検討してみてください。

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