共有地の悲劇 中條レポートNo211

それぞれが合理的判断の下、利己的に行動し、非協力状態になってしまった結果、誰にとってもデメリットになってしまうことを示唆したモデルです。

ある共有の牧草地があり、5人の村人がそれぞれ20頭ずつ羊を飼っています。ここには羊100頭分の牧草しかありません。また、この羊は1100万円で取引されますが、羊が1頭この牧草地に増えると、餌となる牧草が減り、栄養不足のため99万円になります。以後、1頭増える度に、1万円ずつ取引価格は下がっていきます。
村人の一人Aが、自分の利益を高めたいと考え1頭羊を増やしました。結果、村人A2079万円の利益を得ました(21頭×99万円)。しかし他4人の村人は、1980万円と取引高が減りました(20頭×99万円)
それを見た他の4人の村人も利益を高めたいと考え、1頭羊を増やしました。
結果、羊は5頭増え、一人当たり1995万円(21頭×95万円)となってしまいました
適正な頭数100頭のときに受け取れる利益2000万円(20頭×100万円)より少なくなってしまったのです。
さらに皆が頭数を増やしたため、牧草地は荒れ果て使えなくなってしまいました。
周りと協力すれば誰にとってもいい結果であったものが、自らの利益追求図ろうとしたため、最終的には誰にとっても悪い結果になってしまうことを意味したモデルです。

このモデルが環境問題に引用されています。
世界のいたる所で、個々の利益を優先し環境が破壊されています。その結果、世界全体が自然災害の脅威にさらされています。

 家族でも見られます。その象徴が相続争いです。
兄弟の一人がたくさん財産をもらおうとします。(羊を増やそうとする)
そして他の兄弟も、たくさんもらおうとします。(皆が羊を増やそうとする)
結果、相続争いを行い、裁判を行い、費用・時間を費やします。そして心身は疲れ果てます。(羊の価格の低下)
加えて、兄弟姉妹の縁がきれてしまいます。(牧草地が荒れ果て使えなくなる)
円満に分ければ、相続した財産で皆が幸せになれるのに、逆に不幸になっていきます。

国、企業、個人、皆が陥る悲劇です。出来れば防ぎたいものです。

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