雨ニモマケズ 中條レポートNo206

 原文                 現代語訳

雨ニモマケズ              雨にも負けず

風ニモマケズ              風にも負けず

雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ        雪にも夏の暑さにも負けぬ

丈夫ナカラダヲモチ           丈夫な体を持ち

慾ハナク                欲は無く

決シテ瞋ラズ              決して怒らず

イツモシヅカニワラッテヰル       いつも静かに笑っている

一日ニ玄米四合ト            一日に玄米四合と

味噌ト少シノ野菜ヲタベ         味噌と少しの野菜を食べ

アラユルコトヲ             あらゆることを

ジブンヲカンジョウニ入レズニ      自分を勘定に入れずに

ヨクミキキシワカリ           よく見聞きしわかり

ソシテワスレズ             そして忘れず

野原ノ松ノ林ノ陰ノ           野原の松の林の陰の

小サナ萓ブキノ小屋ニヰテ        小さな萱葺きの小屋にいて

東ニ病気ノコドモアレバ         東に病気の子供あれば

行ッテ看病シテヤリ           行って看病してやり

西ニツカレタ母アレバ          西に疲れた母有あれば

行ッテソノ稲ノ朿ヲ負ヒ         行ってその稲の束を負い

南ニ死ニサウナ人アレバ         南に死にそうな人あれば

行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ    行って怖がらなくてもいいと言い

北ニケンクヮヤソショウガアレバ     北に喧嘩や訴訟があれば

ツマラナイカラヤメロトイヒ       つまらないから止めろと言い

ヒデリノトキハナミダヲナガシ      日照りの時は涙を流し

サムサノナツハオロオロアルキ      寒さの夏はおろおろ歩き

ミンナニデクノボートヨバレ       みんなにでくのぼーと呼ばれ

ホメラレモセズ             褒められもせず

クニモサレズ              苦にもされず

サウイフモノニ             そういうものに

ワタシハナリタイ            私はなりたい


宮沢健治がクリスチャン斎藤宗次郎の生き方を見て作った詩です。

“自分を捨て、人の為に何かしている”
というよりも、
“そのままの斎藤宗次郎が、人の為になっている”
と、宮沢健治の目に映ったのではないでしょうか。

あるべき自分になろうとするのではなく、あるがままの自分が人を助ける。
「サウイフモノニワタシハナリタイ」
と思い作った詩のように感じました。

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