成年後見制度 中條レポートNo200

成年後見制度では「ノーマライゼーション・自己決定の尊重という理念と本人の保護の調和」が求められています。そのため、単に財産を管理するに止まらず、本人の生活を支えること(身上配慮義務)が後見人の役割とされています。

1.ノーマライゼーション
障害があっても、健常者と区別することなく共に生活しようとする考え方。
2.自己決定の尊重
本人の自己決定を尊重し、現有能力(残存能力)を活用しようという考え方。
3.身上配慮義務
本人の意思を尊重し、心身の状態及び生活の状況に配慮し財産管理・身上監護を行う。

 日々の後見業務で迷うとき、上記のことが原点に立返るための指標となります。

 後見人等は、本人の能力が衰えてくると、つい特別扱いをしようとします。
「あなたは普通でないんだから」という気持ちで本人に接し、自分でやれることも、ヘルパー等の援助者にやらせてしまうことに注意が必要です。

本人から「△△△したい」と言われることがあります。
「〇〇さんでは無理だよ」「お金がかかるからダメ」等々、出来ない理由をみつけやらせないのでなく、何故そのような気持ちになったのかを考え、出来る範囲でやれるようにすることが大切です。

そして身体的な事や、精神的なこと、経済的なことを配慮し、調整していきます。(現場は全てが出来ることはないため調整は重要です) 

後見人自身が、自分の気持ちを自ら捉えることも大切です。
本人を人格的に見下げ「〇〇をしてやっているのに」という気持ちで接したり、対立的感情が出たり、「本人がかわいそうだ」と感情移入しすぎたり。これらの感情が出てくることを自分自身で気付き制御することです。(感情は心の中に自然に湧いてきます)

見下げた気持ちや、対立的感情は相手に伝わり、相手の心を閉ざす要因となり、過度な感情移入は冷静な判断を出来なくします。

後見制度は本人が本人らしく生活するための支援に重要な役割を果たします。そのことを自覚して日々精進していかなければなりません。

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