制限行為能力者 中條レポートNo196

意思能力が無い人のことを、意思無能力者といいます。この人が行った売買、遺産分割等の法律行為は無効です。法的効力が生じません。(どの程度の方が意思能力者とされるかは、行う法律行為によって異なります)

それでは意思能力は衰えているが、無いとまでは言えない人が行った法律行為はどうなるでしょうか。
これは有効に成立します。

この方々が誰にも相談せずに法律行為を行ったら、騙されてしまうかもしれません。そうならないように成年後見制度では制限行為能力者という人を定めています。具体的には被後見人、被保佐人、被補助人と呼ばれる方々です。

この方々が行った行為で、本人に不利益な行為は取消せるとしたのです。通信販売で高額な布団を買ってしまっても返品してお金を返してもらえるのです。

取消せる人は後見人、保佐人、補助人で、家庭裁判所が選任します。この方々は本人の代理で法律行為を行うことも出来ます。

判断能力が不十分な人が約870万人。そのうち後見制度利用者は20万人です。この現状を鑑み、昨年5月に成年後見制度の利用の促進に関する法律が施行されました。

1条に「財産の管理又は日常生活に支障が有る者を社会全体で支え合うためには成年後見制度が不可欠だから普及させなければならない」と書かれています。

独居高齢者、夫婦二人住まい世帯が急増しています。この方々が意思能力が衰えても安心して暮らせるため成年後見制度が不可欠だということを認識することが大切です。

弁護士・司法書士・行政書士等の親族以外の後見人が増えていますが、普及させるための数は到底足りません。そのため、各市町村で市民後見人の養成が義務付けられています。(市民後見人:一般市民の方で後見業務を行うための学習をし認定された方)

地域の人を、地域の人が見守っていく体制づくりが普及のカギを握っています。

行政頼みではなく、地域の人は地域の人が守るということの現実化の第一歩になることを期待したいです。

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