アウトリーチ 中條レポートNo195

アウトリーチとは本来、手を伸ばす、手を差し伸べるといった意味である。福祉においては自発的に援助を求めてこない方々に対するアプローチの方法で、相談機関から地域に積極的に出て問題を抱えた人と対面し潜在的なニーズを表に出せるよう援助して行くことでアウトリーチが重要な理由は、いわゆる声をあげない方々(援助が受けられる制度を知らない。社会的に孤立している。ぎりぎりまで動こうとしない)を援助するためである。早期に援助することで改善が図られることがある。

例えば生活保護の場合を考える。資産が無くなるまで、何ら相談支援の手立てがなく、生活保護状態になるまで待つだけの人がいたとする。この人を早期に支援することで、資産を元手にし、社会参加や自立意欲を高め就労のきっかけを作ることも可能である。

病気と同様、早期に対応すると出来ることがたくさんあるが、問題が大きくなってからでは出来ることが限られる。但し困窮する前の方に手を差し伸べても拒絶される場合がある。本人の意思能力が確かであれば、本人の意思に反して介入することは出来ない。無理に介入すれば訴えられる可能性もある。しかし、このようなケースでも介入をあきらめるのではなく、挨拶出来る程度の関係を保ち、助けを求められる存在として認識してもらえるよう努力することが大切である。

アウトリーチを実施し機能させるためには、相談支援の対象エリア内の、声なき声(声を発しない人)など、地域で問題を抱えた方々の情報が支援機関につながる地域体制づくりを構築しなければならない。情報提供者は、専門職経験者、ヘルパー、民生委員等の専門知識・経験のある方だけではない。町内会、アパート管理人、新聞配達員、宅配業者、等も有力な援助者になりえる。これらの人々は情報を提供してくれるだけでなく、支援や見守りの担い手にもなってもらえる可能性がある。

超高齢化社会・孤立社会においてアウトリーチが必要な人が急増している。これらの方を援助していくための社会資源は地域社会に求める方法以外はないと思う。そのためには地域社会の人々に活動する意義・必要性を認識してもらう活動が欠かせない。

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