もう一人の自分 中條レポートNo270

相続争いの中にいると周りが見えなくなることがあります。
そんな時、自分自身を客観的な目でみることは有用です。

しかし「言うは易し、行うは難し」。
そんな場面でヒントになるかもしれない言葉がありましたので紹介します。
内容は「素直になること」と「もう一人の自分」の助けをかりることです。

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素直になることの重要性

自己受容:素直になることは、自分の弱点や限界、感情を受け入れることを意味します。これにより、自己理解が深まり、内面の成長につながります。

内なる声の聴取:自分の内なる声や、もう一人の自分からのアドバイスを素直に聞くことで、より深い自己認識と直観を育むことができます。

自己成長の促進:自分自身に対する正直な評価と、もう一人の自分からの指摘を受け入れることで、自己成長の道を開くことができます。

素直になるためのアプローチ

感情の受け入れ:自分の感情をありのままに受け入れることから始めます。自己否定ではなく、自己受容の姿勢が大切です。

内省と自問自答:「なぜこの事柄に抵抗を感じるのか?」や「どの部分が自分にとって不快なのか?」と自問してみることで、素直になることへの理解が深まります。

非防衛的な姿勢:もう一人の自分からのアドバイスを受け入れる際は、防衛的にならず、オープンな姿勢で臨むことが大切です。

誠実な対話:自分自身との対話においては、誠実で正直な態度を保つことが重要です。

素直になることは、自己の真実に近づくことでもあります。もう一人の自分との対話を通じて、より深い自己理解に至り、内面からの成長を遂げることができます。

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ここで言っている「もう一人の自分」とは。
自分自身の成長を純粋に願っている人であることだけは間違いありません。
不思議なお話ですが、妙に納得感がありましたので今回ご紹介させて頂きました。

任意後見制度 中條レポートNo269

後見制度には二つの柱がありますが、ここで述べるのは任意後見制度です。

この制度の特徴は、「元気なうちに(意思能力がしっかりしているうちに)、自身が選んだ人に、意思能力が衰えた後のことを託す」という点です。
この取り決めを行うために、本人と託された人が結ぶ契約を「任意後見契約」と言います。

意思能力が衰えた際に、自分が選んだ人に、自分の代わりに預金の出し入れや不動産の売買等の法律行為を行ってもらうためには、家庭裁判所に自身が選んだ人を監督する監督人を付けてもらう必要があります。監督人には、弁護士や司法書士がなります。

しかし、任意後見契約後、意思能力が衰えても監督人が指定されず、任意後見が始まらないことが多いのが現状です。

何故任意後見を始めないのか。
・監督人に報告を行うのが面倒だから。監督人は家庭裁判所への報告義務があるため、家庭裁判所が間接的に関与し、窮屈感がある。
・監督人を付けると、その監督人に支払う費用がかかる。(この費用は本人のお金で支払います)
これらが主な理由です。

任意後見契約を結ぶとき、意思能力が衰えるまでの期間、本人の様々な法律行為を本人の代わりに行う事務委任契約を結ぶことが一般的です。この事務委任契約により、意思能力が衰えた後でも日常のことは何とかなるため、「わざわざ面倒で費用がかかる監督人を付けて任意後見を始める必要があるのか?」という疑問が生じるのです。

これが任意後見を始めない大きな理由です(法律的には正しくないです)。もちろん、不動産の売買等の重要な法律行為は、任意後見を始めないと出来ません。

法務省はこれを問題視し、任意後見が適切に始まるよう対策を講じています。教科書的には法務省の指針が正しいのでしょう。しかし、現場がそれに順応していません。

成年後見制度は過渡期にあり、実務運用が変化しています。地域によっても対応は異なります。今後の動向から目が離せません。

相続の基本 中條レポートNo268

相続に関する法律は民法に規定されています。民法には以下の重要なポイントが記載されています。

まず、誰が相続人になるのか。
また、相続人には何割の権利(相続分)があるのか。

ただし、民法で取り分が決まっているからといって、他の割合で分けることができないわけではありません。

相続人全員が合意すれば、どのような分け方でも問題ありません。

重要なのは、全ての相続人の合意が必要であり、一人でも反対者がいれば実現することはできないことです。

もし相続人たちの間で話し合いがまとまらず、合意が得られない場合は、裁判所で分割方法が決定されます。

裁判所の決定は、民法に基づいて行われます。

審判官は全ての事情を総合考慮した上で判決を下しますが、民法で定められた割合に基づいて判断することになります(ただし、誰がどの財産を取得するかについては裁判官の裁量があります)。

つまり、相続においては揉めた場合、最終的には民法に従うことになります。

自分が亡くなった後、民法に基づいた分け方では困るという方は、民法の割合を修正することが必要です。

その代表的な方法が遺言書です。ただし、遺言書を作成できるのはまだ元気で存命の間です。

上記のことから民法に書かれている相続の基本である相続人と相続分をしっかり学ぶ必要があることがわかると思います。

自分が死んだら誰が相続人になって、どれくらいの割合を取得するのか。

「民法通りでよい」という方は何もしなくても大丈夫です。
「民法通りだと困る」という方は遺言書の作成を検討してください。

裁判官でも変えられない相続分を変えられる唯一の存在が“あなた”だからです。

国庫帰属法 中條レポートNo267

令和5年4月27日より相続土地国庫帰属法(以下「国庫帰属法」という)が施行されました。
相続で取得した土地を国に費用を支払って引き取ってもらう制度です。
“タダ”でも売れない負動産を引き取ってもらえる可能性があるのです。

相続財産を引き継ぎたくない場合、相続放棄の利用が考えられます。
この制度は、家庭裁判所に申し立てをして、相続人をやめることの許可をもらい、財産を引き継がなくするものです。

それ故、一切の財産を引き継げません。引き継ぎたくない不動産だけ「いらない」とは言えないのです。預貯金があった場合、その預貯金も引き継げません。

国庫帰属法の最大の特徴は引き継ぎたくない土地だけを放棄することが出来るのです。「預貯金を相続し、いらない土地だけ放棄する」ことが出来る画期的な制度です。

但し、引き取ってもらうためにはお金が必要です。必要なお金は20万円~となっています。(詳しくは法務省HP参照)
また引き取ってもらえる土地の要件のハードルも高いです。
・建物が存在する土地はダメ。
・境界が明らかでない土地はダメ。
・隣人とのトラブルを抱えている土地はダメ。

等々、管理処分に費用・労力を要する土地は引取ってもらえません。
たとえ有償でも引き取った後、管理することを考えると、国も安易には引き取れないのが実情です。

国庫帰属法は5年後に見直しを検討しているようです。
引き取り件数が多かった場合、要件を更に厳しくする可能性があります。
「やるなら今の内」という声も聞こえてきます。

また、この制度を利用する場合は国が引き取ってくれるかどうかの目利、引き取ってもらうための条件整備、申立手続、等々、専門家の関与が欠かせません。

そして相続開始前からの早めの準備が欠かせないことは言うまでもありません。

チャットGPT 中條レポートNo266

「円満な遺産分割協議を行うために」チャットGPTに訊ねてみました。以下回答です。
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コミュニケーション:まずは遺産分割に関して家族や相続人たちとのコミュニケーションを図ることが重要です。お互いに意見を交換し、互いの要望や懸念をしっかりと聞き合いましょう。

メディエーターの選定:喧嘩や対立が起きる場合には、メディエーターを選定することが有効です。メディエーターは公正な立場から話し合いを進め、紛争解決に向けて導いてくれる役割を果たします。

目的やルールの設定:遺産分割の目的やルールを明確にしましょう。遺産分割において何を優先するのか、どのような基準で分割するのか、ルールを決めておくことで紛争を未然に防ぐことができますや公正な基準を採用し、遺産の正確な価値を把握しましょう。

クリエイティブな解決策の模索:遺産分割においては、クリエイティブな解決策を模索することが求められます。相続人たちの要望やニーズに合わせた解決策を見つけることで、円満な合意が生まれることがあります。

法的アドバイスの受け取り:遺産分割においては法的な問題やリスクが存在する場合があります。それぞれの相続人が法的なアドバイスを受けることで、自分自身の権利や利益を守ることができます。

長期的視点の持ち方:遺産分割は一時的な問題ではなく、家族や相続人たちの関係に大きな影響を与える可能性があります。長期的な視点を持ち、将来の関係性を考えながら話し合いを進めましょう。

以上のようなステップを踏みながら、遺産分割協議を円満に進めることが重要です。
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以上です。いかがでしょうか。流石GPTと思える回答もありますが?がつく回答も。

しかし、今後GPTは間違いなく精度が上がっていき、有用なものになってきます。これを利用し手続を進めていく時代が到来するでしょう。

しかし、相続の現場は人の感情・心が影響し、最終的に進む方向を決めていくものはGPTとは別次元のものとなるでしょう。

GPTが無尽蔵に発展すると、人の心を誘導する手段ともなる危険もあります。使い分けが重要であること常に頭に入れ利用することが肝要だと思います。

アマゾン 中條レポートNo264

アマゾン流域の熱帯雨林には果物や魚など食べ物が豊富なため、人間が何かを成し遂げようとする必要性がなかった。

高温多湿のため食べ物もすぐに腐ってしまうため動植物を取り過ることもなかった。「動植物をとりすぎると神のたたりがある」と言われた所以だ。

そのため富の集積が起きなかったので貧富の差も大きくならなかった。
争いの起因の多くは貧富の差によりおきる。

そんな地域に文明がやってきて、豊かさを求めるようになった。
そして現在、環境保護と経済発展がぶつかり合っている。

いったい人類は何のために、何をしようとしているのか。
そして
「人類は次世代に何を相続させようとしているのか」

アマゾンの原住民は間違った生き方をしていたのか。そうとは思えない。
しかし、原住民は文明に支配されていき本来の“いき方”を相続させる事が出来なくなっていった。

個々人の相続も同じことがいえる。
「親は子に何を相続させようとしているのか」
“財産”なのか“いき方”なのか。
“財産”が主なのか“いき方”が主なのか。

承継させる方も、受け継ぐ方も、“財産”が主になっているのは否めない。それは日本が高度成長を遂げ、物質的豊かさを手に入れた代償だと思う。

アマゾンが環境保護と経済発展がぶつかりあっているのと同様、個々人の相続も葛藤が生じている。
「本当に大切なことは何か」
このことを常に考え、お役にたてるようにしたい。

201211月号です。感じるところがあったので再掲載させて頂きます。

成年後見制度の役割 中條レポートNo263

成年後見制度利用促進法に基づき予算を費やし市区町村が中核機関を設け、後見制度をより社会に役立つ制度にし、普及させようとしています。

それでは、何故後見制度が必要なのでしょうか。
必要な場面は二通りあると思います。(制度が必要な方を本人といいます)

➀意思能力が衰え法律行為が出来なくなった本人が、法律行為を行わなければならなくなったとき。

法律行為とは、本人が定期預金を解約したり、不動産を売却することです。施設費用等資金捻出が必要で他に費用が捻出出来ないとき等、必須な行為となります。

この時、本人の意思能力が低下していて、定期の解約や不動産の売却が出来なければ、本人の代わりに成年後見人がこれらの行為をするしか方法がないからです。

 ➁本人がその人らしく暮らすことが、意思能力の低下により損なわれているとき。

一人暮らしの高齢者が急増しています。
これらの方が、年齢と共に少しずつ意思能力が衰えていき、今まで自分でやれていたことが出来なくなっていくと、自分らしい生活が出来なくなっていきます。

関わってくれる親族がいる方は親族が見守ってくれます。親族がキーパーソンとなり、介護関係・医療関係の方々と連携して、様々介護サービス・医療の提供に関し対応していきます。

関わってくれる親族がいない方はどうでしょう。

身体の状態が衰えても、自分でやれるうちは、本人が対応し介護や医療の支援を受けることが出来るでしょう。

しかし、意思能力が劣れてきて、これらが思うように出来なくなると、介護・医療の関係者からキーパーソンの存在を求められます。施設入所が必要な場合は必須となることもあります。

こんな状況の時、キーパーソンとなれる存在が後見人(保佐人・補助人)なのです。

後見人は本人の代わりに、預貯金の出し入れ、介護や医療契約を行うことが出来るからです。(但し医療同意等出来ないこともあります)施設も後見人がいれば入所を認めてくれるところが多いです。

後見制度が必要な制度だと解ってもらえることが成年後見制度普及の第一歩です。

一物四価 中條レポートNo262

相続財産の中で財産評価額が不透明な代表的な財産が不動産です。

土地の価格には主に4通りあります。

・固定資産税評価額
固定資産税を算出するための基礎となる価格。

・路線価
相続税評価額を算出するための基礎となる価格。

・公示地価(基準地価)
国(都道府県)が定める土地の適正価格。

・時価
実際に売買される価格。

上記4つの中で不動産の真の価値をあらわすのは時価です。
しかし時価には問題点がいくつかあります。

一番の問題点は、実際に売却しないと時価算出が難しいことです。
時価は三者三様だからです。不動産価格を算出する専門家と言われる不動産鑑定士に依頼しても同様です。

また不動産は個性的な財産ですので、ちょっとしたことが価格に大きな影響を与えることがあります。

それ故、遺産分割で揉める場合、この時価を決めるのが一苦労となります。不動産を取得しないものは高い方有利になり(他の財産を多くもらえるため)、取得するものは低い方が有利になるからです。

他の3つの価格の関係は
公示地価×0.7 ≒ 固定資産税評価額
公示地価×0.8 ≒ 路線価
公示価格 ≒ 時価より若干低めに設定

これらの価格は公表されているため、財産評価額を算出するのは容易です。

ポイントは、相続人がそれぞれの価格の意味を理解し、どの数字を元に算定するのかを全員で合意することです。

そして、争いが激化して、裁判所にお世話になる場合は、算出が困難な「時価」となることを心得ておくことです。

相続開始後10年 中條レポートNo261

相続開始後10年を経過すると、遺産を分割するルールが大きく変わります。

「生前に亡父から財産を貰っているのだから、相続のときはもらえる分が減る」
という特別受益という考えかた。
「生前に亡父に貢献したから今の財産がある。だから相続時は多くもらう」
という寄与分という考え方。
これらが、相続開始後10年経過すると主張出来なくなります。
結果、どんなに不公平な事情があっても法定相続分で分割することになります。

相続人が上記を主張すると、遺産分割がまとまらず相続争いが長引きます。遺産分割を長引かせず、所有者不明土地を減らすという対策の一環で出来た法改正です。
10年経過したらもう昔のことは水に流せということでしょうか。

相続の「開始を知った時」からでなく「相続開始から10年」というのも注意点です。開始を知ったのが遅れた場合も期限は10年となります。(例外規定はあるようですが)

但し、10年を経過した後でも、相続人全員が合意すれば、今まで通りどんな分け方でも大丈夫です。
「10年経過したら法定相続分で分けなければいけない」ということではないです。

今年4月1日からこの民法が施行されます。
この法律は既に相続が開始されている方も適用されます。(通常は施行前に起きたことは法改正に影響しないのですが、所有者不明土地を減らすという大義名分のもと遡及適用されるようです)
但し、10年以上前の相続に関しては、令和5年4月1日から5年以内は通常通りの遺産分割となります。

「相続開始後、揉めてしまったからそのままになっている」
10年はあっという間です。法改正が影響を与える人も少なくないでしょう。
正しいアドバイスが求められます。

二度とない人生だから 中條レポートNo260

二度とない人生だから
まず一番身近な者たちに できるだけのことをしよう
貧しいけれど こころ豊かに接してゆこう

二度とない人生だから
つゆくさのつゆにも めぐりあいのふしぎを思い
足をとどめてみつめてゆこう

二度とない人生だから
のぼる日しづむ日 まるい月かけてゆく月
四季それぞれの星々の光にふれて
わがこころをあらいきよめてゆこう

二度とない人生だから
戦争のない世の 実現に努力し
そういう詩を 一編でも多く作ってゆこう

わたしが死んだら
あとをついでくれる 若い人たちのために
この大願を 書きつづけてゆこう
坂村真民
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人生一度しかないことを忘れてしまいがちです。
機械的に日々の生活を送っているのはそのためかもしれません。

 「大人の時が早く過ぎるのは、〇〇が減ったから!」
○○に入るのはときめき。(NHK番組 チコちゃんに叱られる より)
昨年、感動した出来事を聞かれても、あまり出てきません。機械的に生活を送っているからでしょうか。

「ぼーっと生きてんじゃねーよ」
とチコちゃんに叱られないよう暮らしていきたいです。