アマゾン 中條レポートNo264

アマゾン流域の熱帯雨林には果物や魚など食べ物が豊富なため、人間が何かを成し遂げようとする必要性がなかった。

高温多湿のため食べ物もすぐに腐ってしまうため動植物を取り過ることもなかった。「動植物をとりすぎると神のたたりがある」と言われた所以だ。

そのため富の集積が起きなかったので貧富の差も大きくならなかった。
争いの起因の多くは貧富の差によりおきる。

そんな地域に文明がやってきて、豊かさを求めるようになった。
そして現在、環境保護と経済発展がぶつかり合っている。

いったい人類は何のために、何をしようとしているのか。
そして
「人類は次世代に何を相続させようとしているのか」

アマゾンの原住民は間違った生き方をしていたのか。そうとは思えない。
しかし、原住民は文明に支配されていき本来の“いき方”を相続させる事が出来なくなっていった。

個々人の相続も同じことがいえる。
「親は子に何を相続させようとしているのか」
“財産”なのか“いき方”なのか。
“財産”が主なのか“いき方”が主なのか。

承継させる方も、受け継ぐ方も、“財産”が主になっているのは否めない。それは日本が高度成長を遂げ、物質的豊かさを手に入れた代償だと思う。

アマゾンが環境保護と経済発展がぶつかりあっているのと同様、個々人の相続も葛藤が生じている。
「本当に大切なことは何か」
このことを常に考え、お役にたてるようにしたい。

201211月号です。感じるところがあったので再掲載させて頂きます。

成年後見制度の役割 中條レポートNo263

成年後見制度利用促進法に基づき予算を費やし市区町村が中核機関を設け、後見制度をより社会に役立つ制度にし、普及させようとしています。

それでは、何故後見制度が必要なのでしょうか。
必要な場面は二通りあると思います。(制度が必要な方を本人といいます)

➀意思能力が衰え法律行為が出来なくなった本人が、法律行為を行わなければならなくなったとき。

法律行為とは、本人が定期預金を解約したり、不動産を売却することです。施設費用等資金捻出が必要で他に費用が捻出出来ないとき等、必須な行為となります。

この時、本人の意思能力が低下していて、定期の解約や不動産の売却が出来なければ、本人の代わりに成年後見人がこれらの行為をするしか方法がないからです。

 ➁本人がその人らしく暮らすことが、意思能力の低下により損なわれているとき。

一人暮らしの高齢者が急増しています。
これらの方が、年齢と共に少しずつ意思能力が衰えていき、今まで自分でやれていたことが出来なくなっていくと、自分らしい生活が出来なくなっていきます。

関わってくれる親族がいる方は親族が見守ってくれます。親族がキーパーソンとなり、介護関係・医療関係の方々と連携して、様々介護サービス・医療の提供に関し対応していきます。

関わってくれる親族がいない方はどうでしょう。

身体の状態が衰えても、自分でやれるうちは、本人が対応し介護や医療の支援を受けることが出来るでしょう。

しかし、意思能力が劣れてきて、これらが思うように出来なくなると、介護・医療の関係者からキーパーソンの存在を求められます。施設入所が必要な場合は必須となることもあります。

こんな状況の時、キーパーソンとなれる存在が後見人(保佐人・補助人)なのです。

後見人は本人の代わりに、預貯金の出し入れ、介護や医療契約を行うことが出来るからです。(但し医療同意等出来ないこともあります)施設も後見人がいれば入所を認めてくれるところが多いです。

後見制度が必要な制度だと解ってもらえることが成年後見制度普及の第一歩です。

一物四価 中條レポートNo262

相続財産の中で財産評価額が不透明な代表的な財産が不動産です。

土地の価格には主に4通りあります。

・固定資産税評価額
固定資産税を算出するための基礎となる価格。

・路線価
相続税評価額を算出するための基礎となる価格。

・公示地価(基準地価)
国(都道府県)が定める土地の適正価格。

・時価
実際に売買される価格。

上記4つの中で不動産の真の価値をあらわすのは時価です。
しかし時価には問題点がいくつかあります。

一番の問題点は、実際に売却しないと時価算出が難しいことです。
時価は三者三様だからです。不動産価格を算出する専門家と言われる不動産鑑定士に依頼しても同様です。

また不動産は個性的な財産ですので、ちょっとしたことが価格に大きな影響を与えることがあります。

それ故、遺産分割で揉める場合、この時価を決めるのが一苦労となります。不動産を取得しないものは高い方有利になり(他の財産を多くもらえるため)、取得するものは低い方が有利になるからです。

他の3つの価格の関係は
公示地価×0.7 ≒ 固定資産税評価額
公示地価×0.8 ≒ 路線価
公示価格 ≒ 時価より若干低めに設定

これらの価格は公表されているため、財産評価額を算出するのは容易です。

ポイントは、相続人がそれぞれの価格の意味を理解し、どの数字を元に算定するのかを全員で合意することです。

そして、争いが激化して、裁判所にお世話になる場合は、算出が困難な「時価」となることを心得ておくことです。

相続開始後10年 中條レポートNo261

相続開始後10年を経過すると、遺産を分割するルールが大きく変わります。

「生前に亡父から財産を貰っているのだから、相続のときはもらえる分が減る」
という特別受益という考えかた。
「生前に亡父に貢献したから今の財産がある。だから相続時は多くもらう」
という寄与分という考え方。
これらが、相続開始後10年経過すると主張出来なくなります。
結果、どんなに不公平な事情があっても法定相続分で分割することになります。

相続人が上記を主張すると、遺産分割がまとまらず相続争いが長引きます。遺産分割を長引かせず、所有者不明土地を減らすという対策の一環で出来た法改正です。
10年経過したらもう昔のことは水に流せということでしょうか。

相続の「開始を知った時」からでなく「相続開始から10年」というのも注意点です。開始を知ったのが遅れた場合も期限は10年となります。(例外規定はあるようですが)

但し、10年を経過した後でも、相続人全員が合意すれば、今まで通りどんな分け方でも大丈夫です。
「10年経過したら法定相続分で分けなければいけない」ということではないです。

今年4月1日からこの民法が施行されます。
この法律は既に相続が開始されている方も適用されます。(通常は施行前に起きたことは法改正に影響しないのですが、所有者不明土地を減らすという大義名分のもと遡及適用されるようです)
但し、10年以上前の相続に関しては、令和5年4月1日から5年以内は通常通りの遺産分割となります。

「相続開始後、揉めてしまったからそのままになっている」
10年はあっという間です。法改正が影響を与える人も少なくないでしょう。
正しいアドバイスが求められます。

二度とない人生だから 中條レポートNo260

二度とない人生だから
まず一番身近な者たちに できるだけのことをしよう
貧しいけれど こころ豊かに接してゆこう

二度とない人生だから
つゆくさのつゆにも めぐりあいのふしぎを思い
足をとどめてみつめてゆこう

二度とない人生だから
のぼる日しづむ日 まるい月かけてゆく月
四季それぞれの星々の光にふれて
わがこころをあらいきよめてゆこう

二度とない人生だから
戦争のない世の 実現に努力し
そういう詩を 一編でも多く作ってゆこう

わたしが死んだら
あとをついでくれる 若い人たちのために
この大願を 書きつづけてゆこう
坂村真民
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人生一度しかないことを忘れてしまいがちです。
機械的に日々の生活を送っているのはそのためかもしれません。

 「大人の時が早く過ぎるのは、〇〇が減ったから!」
○○に入るのはときめき。(NHK番組 チコちゃんに叱られる より)
昨年、感動した出来事を聞かれても、あまり出てきません。機械的に生活を送っているからでしょうか。

「ぼーっと生きてんじゃねーよ」
とチコちゃんに叱られないよう暮らしていきたいです。

コロナ 中條レポートNo259

コロナ禍でコロナ感染以外の原因で死亡者が増えているようです。
今年は例年に比べ、10万人以上増加しそうです。

私が後見をさせて頂いている人で、今年5名の方が亡くなりました。例年2人位です。高齢者関連に携わっている方々からも同様に、今年は例年より亡くなる方が多いと聞きます。

コロナで活動が閉塞的になり、身体的、精神的な免疫力が弱くなっているためだと思っていました。

「死亡者数の増加は、コロナワクチン接種が原因ではないか」

という報道が医師団からありました。コロナ接種と死亡増加が一致するからです。コロナの副反応で苦しんでいる人も、若年層も含め相当数いるとも報告しています。

“コロナワクチンの接種率が高く、皆がマスクをしている日本が、世界で一番第7波の感染率が高い”“コロナに感染した多数の方が3回以上コロナワクチンを接種している”とのデータも報告されています。

ワクチンを打つと、変異株に対抗できず感染しやすいのではないかとも言っています。

 この報道が正しいかどうかはわかりません。
しかし、
何故、複数回摂取しても感染するワクチンを打ち続けなればならないのか。
毒性も弱まっているのに、何故ワクチンを打ち続けなければならないのか。

皆が思っている疑問です。
「皆が打っているから接種する」「接種しないと、仕事が出来ない」
等々の理由で、とりあえず接種している人は多いのではないでしょうか。

求められているのは正確な情報です。
コロナ自体でなく、間違った情報で創り上げたコロナ像を恐れ、活動を委縮しているのであれば早く終結させたいものです。

実務講座 中條レポートNo257

私が所属するNPO法人相続アドバイザー協議会(以下「SA協議会」という)で今秋から相続の実務講座を開始します。

受講出来るのは、SA協議会が開催している相続アドバイザー養成講座(以下「SA養成講座」という)を受講し会員(一定の講座数以上受講が条件)になった方です。
「SA養成講座で相続の知識を学んだけれど、実務で活用出来ない」
という会員さんの声を元に創りました。

弁護士でない相続アドバイザー(以下「SA」という)は依頼者の代理人として他の相続人と折衝することは出来ません。又、税理士でない相続アドバイザーは税額計算、申告等は出来ません。
「弁護士・税理士でないSAは出来ることはないんじゃないか」
という声が聞こえてきます。
しかし、そんなことはありません。

それでは、SAは何が出来るのでしょうか。

SAの役割は相続の全体像を見て、何が問題になるかを把握し手続を進めていくことです。そのためには次のことが重要です。

➀正確な知識を元に相続人間で話し合えるようにする。
インターネット等で頭に入る情報は自信の都合のよい情報に偏りがちです。正しい知識で話会うことが重要です。

➁相続人同士で直接話し感情的になり話が進まなくなることを防ぐ。
SAは相続人間の緩衝材となりえる存在です。そのためには聴く力が必要です。

➂上記の役割を果たして出来上がった遺産分割協議書を元に手続をすすめる。
同じ分け方の遺産分割(例えば兄弟均等に分ける)でも手続の方法はいく通りかあります。相続人の状況、財産の状況により最善の手続方法を選択し、実行していきます。

上記の役割を果たすためには、SA養成講座で学ぶ知識は欠かせません。正確な知識を伝え、どんなことが問題になるかを察知するためです。
そして実務講座では得た知識を使って問題点を把握し手続を進めていく方法をお話していきます。

学んだことを実務に活かせないと、仕事にならず、社会のお役たてません。
私も講師の一人です。経験をもとに出来る限りのお話をさせて頂きます。

アミ小さな宇宙人 中條レポートNo255

書籍「アミ小さな宇宙人」からの抜粋です。
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愛とは、強さ、振動、エネルギーである。

もし、ある世界の水準が低けりゃ、それだけその世界は、多くのひとが不幸で、憎しみや暴力や分裂、戦争などが多く、とても自滅の可能性の高い、きわめて危険な状態にあるんだよ。

ひとつの文明が進歩するということは、それだけ愛に近づくということなんだけど、それを達成した世界は進歩していて、誰も傷つけるということがない。これは我々より優れた知性が作り出したもので、これ以外この宇宙で生き延びる方法はない。

われわれの想像する怪物は、われわれの自身の中にしか存在しないんだ。それらを放棄しない限り、決して宇宙の素晴らしさに到達することができない。

科学と愛のバランスが科学の方に異常にかたむきすぎている。
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この本の中で、宇宙人は地球を襲わないと言っています。

何故ならば、心の部分が発達していなければ、宇宙を自在に行き来出来る文明が発達する前にその星は、星の者同士が殺し合い、自滅するからです。
文明が進歩しても、心が進歩しなければ、その星はいつか滅びるということです。

このことが、今のウクライナ戦争を見ているとわかります。
核保有国が、核を持っていない国を威力で脅し戦っています。そして核は使用しない武器でなく、使う武器になりました。

この先100年200年たち文明が発展すれば、核を持つことはどの国でも容易になり、核以上の武器も開発され使用を前提とした戦いが行われるのでしょう。
数百年後も地球が存続することは出来るのか……..。

 相続の仕事をしていると人は本質的に争う心を持っていると感じます。このことは人として生まれた以上は避けられないのでしょう。

 20年前に読んだ本ですが、今一度読み返してみたいと思います。

遺産分割で初めにすること 中條レポートNo254

遺産分割では、最初に調べなければならいことが二つあります。

1亡くなった方(被相続人)の財産を相続できる人は誰か。(相続人は誰か)
2被相続人は、どのような財産を所有していたか。

相続人を確定させるためには、被相続人に関連する戸籍を収集しなければなりません。誰が相続人になるかにより、集める戸籍が変わります。

兄弟姉妹が相続人となる場合は、被相続人の両親の出生から死亡までの戸籍、兄弟姉妹の戸籍が必要になります。戸籍の数も相当数になり、集める時間もかかります。

戸籍に漏れがあると、相続人を間違えます。間違った相続人で遺産分割を行っても効力がないため、戸籍集めは慎重を期します。

最近では法務局に集めた戸籍を持って行くと、法務局が戸籍を確認し、相続人が誰かを証明する書類である法定相続情報を発行してくれ、この書類で各種相続手続を行うことが出来ます。(以前は手続するため戸籍を各機関に提出していました)

なにより大きなことは、戸籍を法務局がチェックしてくれるので、戸籍を漏らす心配がなくなることです。

次に2の財産の確定です。

預貯金等金融資産は、亡くなった時点での預貯金等の残高証明を金融機関に発行してもらいます。積立型金融商品(火災保険等各種保険等)は亡くなった時点に解約した場合に得られる解約返戻金を出してもらいます。

被相続人が生前に引出した預貯金の行方は問題の種です。違う人の名義の口座に移っているが実質は被相続人の預金(名義預金)。相続人の預金へ移っている場合。等々預貯金は頭を悩ますことが結構あります。

株式等値動きがあるものも問題になります。価格を相続開始時とするか遺産分割時とするか。諸説ありますが、相続人間で合意して決めて、後日争うことが無いようにすることが肝要です。

不動産は被相続人が所有している一覧が記載されている役所が発行している名寄帳を取得します。私道の持分等、財産の漏れを無くすためです。

 上記のように二つの項目を明確にして、遺産分割に臨んでいきます。大切なのは、相続人間に疑義が生じないようにすることです。

受け止め方 中條レポートNo253

書類を整理したときに見つけた2010年7月の中條レポートNo110「受け止め方」。
レポートを読み返し感じたことを書いてみました。

「人間は出来事によって悩むのではなく、出来事の受け止め方によって悩む。受け止め方を変えれば、感情も変り、行動も変る」

 肝心なのは受け止め方なのです。
そして受け止め方を決めるのは自分自身の「心」です。

 しかし、この「心」がやっかいです。
頭ではなく、様々な感情が心のどこから湧いてくるからです。

これを変えるのは大変なことです。
しかし、湧き出てくる感情に気が付き、それの良し悪しを判断することは、意識して取組めば可能です。

 悪い感情だとわかっても、湧き出てくる感情が変わるものではありません。
その場合、先に行動を変えてみるのも一つです。そして時間を味方にしましょう。

行動を変え、時間がたつと、湧き出てくる感情が変化してきます。(人の心はころころ変わるものです)それを上手に感じ取るのです。

 行動とは、難しいことをするのではありません。
嘘でもいいから「〇〇を許す」と言ってみる。等々。
続けると不思議と心から湧き出てくるものが変わることがあります。

 相続争いの原因は「分け方」ではなく、分け方の「受け止め方」で起きるのだと思います。争っている相手が他人でなく、身内のため、湧き出てくる感情を抑えきれず争いが激化します。激化すると、更に意図せぬ感情が「心」から湧き出て悪循環が起こります。

そんな時このレポートを思い出してください。
受け止め方を変えることで、相続で不幸になることを防げるかもしれません。