足らぬ幸せ 足りる不幸せ 野口レポートNo252

昭和39年は、夢の超特急東海道新幹線の開通、ビルの谷間を高速道路がかけめぐり、東京オリンピックが開催された年です。車社会の幕開けでもあり、ガソリンスタンド(GS)は花形産業でした。

そんな時に1本の計画道路が畑を横切り、自分の人生を変えてしまいました。何を思ったか半農で役所勤めの父が、退職しGSを開業すると言い出しました。

跡取り息子は家業を継がなければなりません。正直で素直さだけが取り柄の自分には、商売人としての才覚がないことは分かっていたのでGS開業に「大反対」をしました。

押し切られ父は開業に踏み切りました。だが、慣れぬ仕事のストレスで体調を崩し長期入院、家族会議が開かれGSを売却するか、他に貸すかの話になりました。華々しく開業し、わずか半年でやめてしまったら世間の笑い者です。ここで2度目の「大反対」です。大学を中途退学し家業の立て直しを決意しました。

遊びまわっている同年代を横目に、朝7時から夜9時まで身を粉にして働きました。自分の時間などありません。わずか20歳の青年の肩に責任の全てが伸し掛かってきました。家業の立て直しが青春の全てでした。この時の様々な試練や苦労が人間形成の根幹となり、今日の自分があります。振り返れば足らぬ幸せでした。

私が生まれた昭和20年代は食糧も豊富でなく、食べたいものも食べられぬ時代でした。遠足の朝、母がそっとリュックに入れてくれた1本のバナナの味は今でも忘れません。メタボや生活習慣病など誰もいませんでした。足らぬから幸せだったのです。

腕にチクリと違和感をおぼえました。見ると一匹の蚊がとまっています。腹いっぱい血を吸ったと見え、まるまると膨らんでいます。重くて飛ぶことができません。下にポトリと落ち、つぶされてしまいました。腹8分目で満足しておけば助かったものを……。足りたがための不幸せです。

 美しくなりたい、女性なら誰もが思う願望です。しかし、美人が幸せになれるとは限りません。美しさは少しばかり足らぬほうが、女性は幸せになるような気がします。

もらうのはあたりまえ、親の遺産に感謝など一切なし、「足るを知らず」双方一歩も譲らない、相続争いは勝っても負けても不幸になります。ご先祖様が汗して残してくれた尊い財産を分捕り合うわけですから、天罰こそ当たれ幸せになれるはずがありません。

「幸せのなかに住む人は幸せが分らない。幸せは手に入れるものでなく、感じるもの気付くもの。」小林正観さんの言葉です。 

「素直」な人は「謙虚」になれます。謙虚な人は「感謝」に気付きます。感謝があれば「譲る」ことができます。譲り合う相続は感動し、こちらまでが幸せな気持ちになります。

「足るを知る」人は「足らぬ幸せ」に気付きます。

誠実

真に個性的な人の根底は「誠実」である。
それというのも、
一切の野心、さらには「我見」を焼き尽くさねば、
真に個性的な人間にはなれないからである。
[ 森信三 一日一語 ] より

この通りだと思います。
単に我が強いのは個性が強いだけです。

複写はがき

人間の書く物の中で、
読まれることの一番確かなものは「手紙」である。
それ故できたら複写紙で控えをとっておくことは、
書物を書くのと比べて幾層倍も大事なことといえよう。
[ 森信三 一日一語 ] より

森信三先生が考えられたと言われている複写はがき。
今日の一枚で五千五百九十枚目です。

二重の真理

(一)われわれのこの人生は、二度と繰り返し得ないものだということ。
(二)われわれは、いつ何時死なねばならぬかもしれぬということ・・・
この二重の真理が切り結ぶことによって、
はじめて多少は根性の入った人間になれるといってよかろう。
[ 森信三 一日一語 ] より

その通りですね。

正直

正直という徳は、
われわれ人間が、世の中で生きていく上では、一ばん大切な徳目です。
それ故「正直の徳」を身につけるためには、
ひじょうな勇気がいるわけですが、
同時に他の一面からは、相手の気持ちを察して、
それを傷つけないような深い心づかいがいるわけです。
[ 森信三 一日一語 ] より

正直が関係者を傷つけることがあります。
正直である勇気。傷つけない心づかい。
バランス感覚が重要です。

福徳一致

人間の真価と現世的果報とは、
短い眼で見れば合致せずとも見ゆるべし。
されど、時を長くして見れば、
福徳一致は古今の鉄則なり。
[ 森信三 一日一語 ] より

信念をもって行動する事。
先日の小宇宙論と通ずるように思います。

一小宇宙

人は自己に与えらた境遇の唯中に、
つねに一小宇宙を拓かねばならぬ。
されば夜店の片隅にいる一老爺でも、
その心がけ次第では、一小天地の中に生きているといえよう。
[ 森信三 一日一語 ] より

この心掛けが出来れば、不平不満はなくなります。

自己の縁なき著名人の書を読むより、
縁ある同志の手刷りのプリントを読む方が、
どれほど生きた勉強になるか分からぬ。
これ前者は円周上の無数の一点に過ぎないが、
後者は直接わが円心に近い人々だからである。
[ 森信三 一日一語 ] より

身近に本を書いている仲間がいることは幸せなことだと気が付きます。

歎異抄

親鸞は「歎異抄」の冒頭において、
「弥陀の誓願不思議に助けられまゐらせて」という。
その不思議さを、親鸞と共に驚きうる人が、
今日果して如何ほどあるといえるであろうか。
[ 森信三 一日一語 ] より

この不思議さ。
世に生を受けたことに感謝しなければなりません。

使命感

われわれ人間は、ただ一人の例外もなく、
すべて自分の意志ないし力によって、
この地上に生まれてきたのではない。
そしてこの点に対する意識こそ、
おそらくは最高最深の叡知といってよい。
されば我われ人間は、
それぞれ自分がこの世に派遣せられた使命を突き止めねばなるまい。
[ 森信三 一日一語 ] より

使命感を持たねばなりません。