一眼は遠く歴史の彼方を、
そして一眼は脚下の実践へ。
[ 森信三 一日一語 ] より
生前に葬儀社を決める重要性 中條レポートNo295
人生の節目である冠婚葬祭のうち、結婚や出産、進学などは事前に綿密な準備をするにもかかわらず、「葬儀」については逝去後に慌ただしく決めるケースが多いのが実情です。実際、亡くなる前に葬儀の相談をしている人は、全体の3人に1人程度にとどまっています。
多くの人が抱きがちな誤解としては、以下のようなものがあります。
「葬儀はそのときに考えればよい」
「家族葬なら費用が安く済む」
「葬儀のことを考えるのは縁起でもない」
「病院が紹介してくれるから安心だ」
しかし、これらの考えには大きなリスクがあります。たとえば、緊急搬送先の病院で亡くなった場合、病院側から速やかな遺体搬送を求められ、葬儀社をじっくり選ぶ時間はありません。多くは病院が紹介する葬儀社に連絡し、死亡診断書を引き渡して搬送依頼を行う流れになります。そのまま打ち合わせに入り、すでに搬送済みであることから他社と比較することも難しくなります。
また、葬儀費用に関しても注意が必要です。広告に記載されている「プラン料金」だけで全てが賄えると思っていると、思わぬ出費に直面します。実際に必要となる可能性のある費用には以下のようなものがあります。
葬儀式場の使用料 遺体の安置費用(火葬まで)
飲食接待費用 香典返し(返礼品)
お布施(宗教者への謝礼) 火葬料 など
こうした費用は、事前に相談することで総額を把握し、複数の葬儀社の見積りを比較することが可能です。その結果、費用面だけでなく、サービス内容やスタッフの対応など、自分や家族にとって納得のいく業者を選ぶことができます。
葬儀を終えた後に「費用が適正だったのかわからない」「あわただしすぎて希望通りの式にできなかった」と後悔する声は少なくありません。だからこそ、生前のうちに葬儀社の検討・相談を行っておくことが、遺された家族の心の負担を軽減し、故人にふさわしい葬儀を実現するための第一歩となります。
出会いも人生・別れも人生 野口レポートNo351
60年前、父親の入院でピンチに追い込まれた家業のGスタンドを、大学1年で中退し、無我夢中で支えたことは以前お話しましたが、その陰には苦境を共に乗り越えてくれた人の存在がありました。
当時19歳の私より5歳年上のEさんです。事情を察した上で会社に入ってくれました。自分に本当に必要な人との出会いは、少しも早くなく遅くなく、絶妙なタイミングで訪れます。
日曜日も休まず朝早くから夜遅くまで働きました。売掛金回収も大事な仕事です。回収できなければ、こちらが倒産してしまいます。海産運送業の荒くれ業者から、担保になっているオート三輪を命がけで押さえ、このガキ(当時未成年)がと、手鉤を振り上げられたこともありました。家業の立て直しが青春の全てでした。
これら修羅場を通し培ってきた、精神力と忍耐力は、今の相続の仕事に役立っています。家業も持ち直し、長期入院していた父親も健康を回復し仕事に復帰しました。息子(私)の成長を見極めたEさんは、自分の役目は終わったと、自ら身を引き去っていきました。
その後Eさんは数回転職を繰り返しました。奥様はひたすら家計を切り詰め陰で支えました。元来器用で働き者のEさんは、土木業を立ち上げました。誠実な人柄と丁寧な仕事ぶりで、工務店の信頼を集め事業も順調に発展、自宅を建てるまでになりました。
連帯保証人だけにはなるなと、口癖のように言っていた父親が、この時は二つ返事で引き受け、自分のことのように喜びました。
Eさんは、子供の教育と躾には特に厳しく、「成人したら、親を頼らず自分の力で生きること!」が口癖でした。
3人の子供たちは立派に成長し、各分野で活躍しています。厳しくも丁寧な子育ては、私たち夫婦にとって常にお手本でした。
屈強な身体の持ち主が不調を訴え、直腸ガンと診断され手術を受けました。開腹してみると、ガンはすでに転移し、手遅れの状態でした。家族は主治医から余命を告げられました。奥様からの電話に、私は言葉が見つかりませんでした。
Eさんは強い精神力の持ち主です。生きる意欲を失わず、退院すると現場に復帰し仕事に取組みました。どこからそんな力が出てくるのか、医師の宣告が信じられませんでした。
1年後に再入院、見舞うと「賢ちゃん、ありがとうね」と必ず言ってくれました。面会の度に体重も減っています。家族も別れが近いことを察しました。最期は自宅に戻り、奥様に看取られ安らかに旅立っていきました。享年63歳、私には兄のような存在でした。
Eさんは、自分の力で財を築きました。その後ろ姿を見て育ってきた子供たちには、親の財産を当てにするとの発想がなく、相続争いなど無縁です。相続は親の「子育ての集大成」であると改めて感じました。出会いも人生、別れも人生、されど辛い別れでした。Eさんの恩は生涯忘れることができません。
日本民族の使命
日本民族の使命は将来の東西文化の融合に対して、
いわばその縮図的原型を提供する処にあるであろう。
[ 森信三 一日一語 ] より
広義の世評
学問や思想の世界においてさえ、
真に自分の眼で物を見、自己の頭でその真偽・優劣を判断せずに、
広義の世評を基準としてしか物の判断できない人が多いということは、
真に嘆かわしい極みである。
[ 森信三 一日一語 ] より
我執
我執とは、自己の心身の統一が得難く、その分裂乖離の結果、
心が欲望の対象に偏執する相といえる。
それゆえ、およそ「修業」の根本となるものは、
いずれも身・心の相即的統一を図る工夫を念とする。
[ 森信三 一日一語 ] より
分
分を突きとめ分をまもる。
[ 森信三 一日一語 ]
分を知る
分を知るとは自己の限界の自覚ともいえる。
随って人間も分を自覚してから以後の歩みこそほんものになる。
だが才能ある人ほど、その関心が多角的ゆえ、
「分」の自覚に入るのが困難であり、かつ遅れがちである。
[ 森信三 一日一語 ] より
名利
名利の念を捨てることは容易ではないが、それはとにかくとして、
少なくとも名利というものが
絶対的でない事を知らせて下すった方こそ、
真に「開眼」の師というべきであろう。
[ 森信三 一日一語 ] より
不完全知
知識の完全な模写物より、
自分の躰でつかんだ不完全知の方が、
現実界でははるかに有力である。
[ 森信三 一日一語 ] より

