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老年学入門 三商レポートNo69 

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  自分の「死」を考えたくありません。しかし、誰でも必ず死を迎えます。そのため、自分の相続について考える時期が来ます。その時期は、人それぞれ違います。でも、50歳になったら相続のことを学んでほしいと思います(第六十八話)。意を決し、親や自分の相続のことを考え始めます。相続に関する本を読んだり、相続セミナーに参加したり。そこから教わることは、相続税・節税対策・生前贈与・遺言・遺産分割などが中心です。どれも大切なことです。しかし、モノやカネに焦点が当てられ、主人公である“人“が置き去りにされています。自分の相続のことを考える時、「自分が死ぬまでいかに充実して生きるか」という視点も加えたいものです。

 「老年学」とは、ジェロントロジーの訳です。老年についての科学的研究を意味します。高齢社会では、この老年学の知識がますます必要とされています。

老年学の目的は、生きる意欲を持った生き生きとした老人をつくりだすことにあります。「老年学に学ぶ」(山本思外里著 角川学芸ブックス)は、心身医学・精神科学・免疫学・遺伝学・疫学・心理学・社会学・死生学などの最新の諸科学の膨大な文献の中から先人の英知を整理し、残された未来を生き抜くためのヒントとなる10項目を教えてくれています。

@もはや「支配世代」ではないのだから、過去の地位や名誉や業績などに恋々としてはならない。

Aこれまでの経験の蓄えを活かし、若い頃とは異なる品格を持つ。

Bこれまでの人生の道筋にそって行なわれてきた過去の自分の選択を承認し、受け入れる。

C力を抜いて、我を忘れて、遊び心豊かに生きると決意する。

D生き生きとした感性と創造力を維持し、それを伸ばすように努める。年を重ねるにつれ体力は劣化するが、知的能力は別である。

E世の中への関心と物事に対する好奇心をなくさず、社会との「生き生きとしたかかわり合い」を保つ。

F老後の生活の質は、「何を持っているか」で決まるのではなく、「生きがいがあるかどうか」で決まる。

G前向きな性格と楽天主義こそ長寿の秘訣である。特に「笑い」はどんな難病をも癒す力を持っており、「朗らかな心」はたとえ苦難の中でも私たちに幸福をもたらしてくれる。

H老化は病気ではない。成熟であり、獲得なのだ。

I「老いの英知」は、自らが学んで獲得しない限り身につかない。自分の幸福は、自分が作り出すもの。生きることは、生涯をかけて学ぶべきことである。

大切なことは、人生の終末=死を人生の成熟として受け入れ、一瞬一瞬を「生きながら死ぬ覚悟」(ユング)で生き抜くこと。そして、「ああ、わたしは生きた!」と言えること。そのために、「手持ちの時間をフルに生きる」(キューブラー・ロス)ことです。

相続を考えるということは、「いかに生きるか」ということとセットなのです。
2010年3月1日)






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