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幸せと振り子の原理 野口レポートNo135

右に大きく振られたオモリは、必ず左に振り返します。これは「振り子の原理」です。時計やブランコなどもそうです。原理とは一定の条件の下で必ず起きる現象を言います。

「相続で親の財産を引き継ぐ」この一定の条件の下で必ず起きる現象があります。譲った人が幸せになる。欲を通し財産を奪った人は幸せになれない。この不思議な事象も「振り子の原理」です。

1年ほど前に相続のお手伝いをしたAさんがいます。ご夫婦で父親の在宅介護をしておりました。父親はAさんに自宅を相続させる公正証書遺言を残しておりました。他の兄弟への生前贈与や、Aさんの寄与分(介護)などを考えれば妥当な遺言だと思いました。

だが、父親が亡くなると兄弟の一人Bさんが遺留分を主張してきました。弁護士から遺留分減殺請求の内容証明がきたら、兄弟の糸は切れてしまい、二度とつながることはありません。

Aさんに遺言を放棄し、遺産分割の話し合いで問題を解決することをアドバイスしました。Aさんは一歩二歩と譲り、Bさんに代償金を払い自宅を相続しました。《122号で紹介した話です》

仕事が終わったあと、私は譲ってくれたAさんにひとつの言葉を残してきました。「ご夫婦には良きことがたくさん起きますよ」今までの経験から本当にそう思ったからです。 

それから1年が経過しました。先日Aさん夫婦が改めてお礼にきてくれました。その後の報告もしてくれました。
  ご夫婦は腕のよい職人さんです。借地上に店舗を構え商売を営んでおります。借地がビル用地として地上げされることになりました。立ち退かされたらAさんは商売ができなくなります。

不幸な出来事と思いきや、好条件が提示され合意に至りました。新築されるビル1階の1店舗を取得し、さらに金銭が残ります。

だが、ビルが完成しAさんが営業を再開できるまでにはブランクが生じます。そんな折、ある大手の社団法人から厚生施設で仕事をしないかと声がかかりました。

夫婦には足りる収入です。時間にも余裕が生じ、ゆとりが出てきました。取得する店舗は、賃貸に回せば年金の意味を持ってきます。Aさんには良きことがあとからあとから起きています。

もしアドバイスを誤り、遺言を執行させてしまったら、Aさんは幸せになれなかったでしょう。本当によかった、こんな時はプロとして冥利に尽きます。

入ったものは出る、出たものは入る。取れば取られる、与えれば与えられる。吐く息、吸う息。降る雨、昇る水蒸気。すべては発する方と還(かえ)る方、この相反する方向に動いています。

「発すれば還る」周りや人を冷静に見てください。すべての物事はこの原理の上に成り立っています。これに気付けば譲ることができるでしょう。そして、その後には幸せが待っています。




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